ウォーレンバフェットも投資する総合商社の未来を予想します。

こんにちは!めがねシャチョウです。

世界的に有名な投資家であるウォーレンバフェットさんが、商社に一斉に投資しましたことが話題ですね。

今日は大学生や若手社会人に向けた提案、アドバイス、をします。就職先としての商社、いかがでしょうか?

早速本題に入ります。

(1)そもそも商社は何をしている?

前提としてそもそも商社がどんなビジネスをやっているか説明できますか?

大きく分けて商取引と事業投資の2つがあります。

商取引とは主に国内の企業が原材料や製品の輸出入で海外企業と取引する際に、その仲介や物流を行うビジネスです。

もともと商社はこの商取引を中心に成長してきました。

商取引において、特定の分野の商材やグループ企業に特化している商社が専門商社で、ある分野に留まらずあらゆる製品・サービスを取り扱っている商社が総合商社と一般的に分類されています。

特に総合商社は海外拠点を多数持っていて、そのパイプを活かして日本企業の海外展開の支援事業も大きな収益源です。

事業投資は特に平成の不況以降に拡大して、資源エネルギーや小売業などの、仲介や物流以外の事業に投資を行って利益を生み出すビジネスです。

特に日本のコンビニ事業がここまで発展したのは商社の事業投資のおかげであり、総合商社で言えば三菱商事はローソンの筆頭株主で、三井物産はセブンイレブンの株を一部保有しています。

また先日伊藤忠がファミリーマートを完全子会社化したことも話題になりました。

総合商社はそれぞれ注力している事業が異なっています。

例えば伊藤忠は繊維や食料などの非資源へ注力している一方、住友商事は金属や輸送機・建機、メディア・生活関連といった分野、丸紅は食料や電力インフラが日本最大規模と、商社ごとに強みが分かれています。

(2)商社はこれ以上伸びていかない

このような話を聞くと、商社はすごい大きな規模でビジネスをやっていて、安定していると考える人が多いかもしれませんが、これこそ商社に就職するべきでない大きな理由の1つです。

商社はここまでの巨大企業に発展した結果、ここからさらに伸びるだけのポテンシャルが小さいと言えます。

企業を成長させるためには、基本的に既存の事業を伸ばすか、新規の事業を生み出すかの2択しかないですよね。


この2つの成長戦略の両方で、商社はマイナスのポイントがあります。


まず既存の事業を伸ばすということについて考えてみます。


商社が大きくなれた理由として、これまで構築してきた圧倒的な情報網があります。


先ほど説明した商取引においても、商社は自社のネットワークを活用することで、取引先に依頼された資材や製品を、どこのどんな企業に発注するかを判断しています。


「戦略コンサルには就職するな」という動画でも話した通り、2000年代初期までは、このような経営における重要な情報は、限られた企業が持つ貴重なものでした。

しかし現在のような情報化社会では、情報の非対称化がどんどん無くなっていったため、商社が持つ情報網自体の価値が薄れているんです。

またここ数年顧客が欲しいものモノも、以前とは比べ物にならないほどの速さで変化しています。

今では商社よりも顧客に近く情報を集めやすいメーカーや、より多くの情報を持つ巨大IT企業が、取引において重要な存在になりつつあります。
このニーズの変化のスピードに情報収集力がついていけないと、商社も厳しいと言わざるを得ません。

もう1つ新規の事業を生み出すことについては、これは商社は事業投資には強くても、事業創造には弱いという点があります。

確かに先ほど商社は、平成の不況時も積極的に事業投資を行ったことで大きく成長したと説明しました。

これは何か新しい事業に投資したというよりは、資源エネルギーや小売業といった、既に出来上がってはいるが、まだまだ伸びていく見込みのある事業に投資したと言えます。

このような投資は資金や人材が潤沢にあり、継続的に事業を運営していくノウハウを持つ商社にって、低いリスクで高いリターンが得られる最高の投資でした。

しかし一方で巨大企業として成熟した商社は、新規事業のようなリスクが高いものには手を出さなくなっていったため、結果的にゼロからイチを生み出すようなノウハウが無くなっているんです。

そのため商社には自ら新規事業を立ち上げることができる人材が減っていて、これは今後成長できるかという面では大きなマイナスです。

こんな感じで既存事業は伸びていかない、新規事業は生み出せないとなってしまうと、企業としての成長は頭打ちなんです。

実際今回のコロナで商社もかなり大きな打撃を受けていて、食品事業などを強化しこれまで以上にリスク低くする経営にシフトしています。

こうなるとわざわざ高いハードルを超えてまで就職するメリットが以前より無いとめがねシャチョウは考えています。


(3)止まらない優秀な若手人材の流出


この「商社頭打ち説」は実は商社内部でもそうで、ここ数年商社から転職する若手人材が非常に増えているんです。

現に2018年のデータで、ある転職サイトにひと月で新規登録された商社出身者の人数が、前年の同時期に比べて4割も増えたというデータがあるくらいなんです。


この理由を考えたときに、商社自身の伸びに加えて、入社前と後で感じていたことのギャップが非常に大きいということが挙げられます。


商社に就職を希望する人の多くは、商社パーソンは30代で1000万稼げて、自己成長できると大きなあこがれを持っていると思います。

実はこれが大きな罠なんです。あこがれだけで就職してはいけません。

確かに商社の給与水準は他の業界と比べても高く、平均年収が1000万を超える企業も珍しくはありません。

しかし、自己成長ができるかと言われると、そこについては考えないといけません。

例えば商社の事業投資に興味を持ち、投資業務のスキルと経験を積み上げたいと考えている人もいると思いますが、商社は商取引のような仲介業と投資業を組み合わせた業態であり、投資専門ではありません。

そのため商社が欲しいのは、どっちかがずば抜けてできる人材よりも、どっちもそこそこできる人材なんです。

もちろんこれはこれで非常に優秀な人材ではありますが、真の専門家は有り余る資金で外部から雇ってくればいいので、何かに振りきるような経験はあまり積めないかもしれません。

そうなってくると、投資をより専門にしたい人は証券ファンドや投資銀行へと流れ、経営に近い投資を深めたい人は、経営コンサルや戦略コンサルへと転職することになります。

また商社は典型的な日本的大企業であるため、新卒や2,3年目に任せられる仕事はやはり限られます。

年収は高い一方で顧客の細かな要望に応えるために、大量の雑務を忙しくこなすということが日常になっていきます。

その結果、より個人の裁量権を求めて商社を退職し、急成長している30人程度の規模のベンチャー企業に転職するという若手も結構います。

単純に世間における商社のキラキラしたイメージだけで就職するのは、入ってからのギャップに苦しむだけなので、単なるあこがれだけで商社に就職するなら絶対にやめてください。

(4)それでも商社に入るメリットは?

では商社に就職したときに、メリットはあるのでしょうか?

要求水準の高い大手の企業で働くことで、自分の仕事に対するキャパシティーを上げたり、かなり大きなプロジェクトの一端を担ったりすることができます。

あえて「商社」で働くことでメリットが得られるとすれば、総合力の高い人材になることができるという点です。

先ほども説明したように、商社は複数のビジネスを融合させた企業なので、分野を絞ったスキルが磨かれるということは少ないと思います。

しかしその一方で、あらゆる業種の企業を対象にした仲介業や、事業投資後の事業運営などは、多分野に渡った非常に多くのビジネス知識を必要とするため、多忙な業務に食らいつくことでその知識をいやでも吸収することができます。

成熟した商社で多忙ながらもビジネスのいろはを学びたいか、それともベンチャーに入って会社と共に成長していくか、就活や転職をする人はよく考えて決断してください。

最後までありがとうございました。

めがねシャチョウ

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