子育てを構造化してシェアしよう。
子育てを女性だけに任せてはいけない。
男性も育児休暇を取るべきだ。
地域で子育てをするべきだ。
いや、社会全体で子育てをするべきだ。
そんなニュースや論調は山ほどある。
社会全体で子供を育てる。
聞こえもいいし、もっともだ。
でもなかなか進まないのはなぜだろう。
理由の1つにあるのは「子育て」を一括りにしてしまう発想なんじゃないか。
今日はそんな話。
■子育てパートナーとして活動するキリトさんの話
先日、ポリアモリーというライフスタイルに関する座談会を主催した。
ポリアモリーとは、合意を得た上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ恋愛スタイル。これまでポリアモリーについて書いたシリーズはこちら。
参加者の中に1組のカップルがいた。
双子の子供を持つももさん、そのパートナーであるキリトさん。
キリトさんは自らを「私はFtMで、私たちはアセクシャルな関係」と紹介した。
FtM:女性から男性へ性別移行を望むトランスジェンダーの1種
アセクシャル:他者に対して恋愛感情や性的欲求を抱かないこと
ポリアモリーに対する理解で精一杯だった参加者たちがその情報量の多さに混乱する中、キリトさんは続けた。
「私はももさんの子育てパートナーをやっている、主に事務手続きが得意で、得意な年齢層もある」と。
聞くと、キリトさんは事務手続きが苦手なももさんに代わって、公的機関とのやり取りを手伝いつつ、たまには家族旅行にも参加しているらしい。
ももさんが「子どもたちと遊んでくれて、ありがとう」と伝えると、キリトは「むしろ、こんな風に休日のパパ気分を味合わせてもらっていいのかな」と照れているらしい。
今後、2人の関係を学校にどう説明するかなど、多少困難はあるものの、うまくやっている様子だった。
■子育てを構造化してみる
僕には2人の話を聞くまで、子育てを年齢別・分野別で捉える視点がなかった。
「子育てって大変だよね」
と、子育てを一括り考えていた。
よく考えれば子供に食事を与えるのと、子供に勉強を教えるのは別の能力。
屋外と遊ぶのと、屋外の遊ぶのだって違う。
もっと言えば、3歳と遊ぶのと10歳と遊ぶのだってもはや別の分野だ。
それらを全て一括りに「子育て」と呼んでいた。
当たり前だが、人には得手・不得手がある。
「子育てが得意」と言っても「子供と遊ぶのは得意だけど、掃除は苦手」という人はいるだろう。
また「3歳〜5歳くらいの子供は得意だけど、中学生はちょっと苦手」という人だっているはずだ。
自分の子供だろうが、他人の子供であろうが、この得手・不得手は簡単には変わらない。「自分の子供の掃除だけは得意」なんて人はそういないだろう。
下の表のように分ければ、子育てと言ってもそこには66の競技があって、それぞれに得意な分野、苦手な分野(+普通の分野)が存在するはずだ。
◾️自分の得意分野で、子育てに参加する準備を
親に代わって子育てをしてください。
そんなことを言われたら誰だって身構える。
前述の
66の競技を
18年間
たった1人でやり続けろ
と言われているように聞こえるのが今の子育てに対するイメージだ。
近年、そんなワンオペを禁止する流れもでてきた。
もし本当に日本でワンオペが禁止されたとしたら、誰かがそれを代行するのだろうか。もちろん社会全体、私たち1人1人で代行することになる。
そんな未来がいつくるかはわからない。
しかしその時のために、キリトさんのように今から子育てを構造化して整理し、自分の得意分野で参画する準備をしておいたらどうだろうか。
少なくとも、家事代行を育児放棄などとを叩いているようは場合ではない。