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同僚がロボットになる時代 人材不足・日本の近未来を想像する

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

人材不足という声が年々大きくなってきています。日本は世界的に見ても少子高齢化が急速に進行している国の一つであり、生産年齢人口(15~64歳)のピークは1995年、総人口においても2008年をピークに減少に転じています。少子化対策や各種支援施策も行われてはいますが、大きく出生率を改善するまでには至りません。

2060年には生産年齢人口が2015年比で約40%も減少すると予測(総務省)されており、近い未来である2030年の推計でも「7,073万人の労働需要に対し、見込める労働供給は6,429万人であり、644万人もの人手不足となる」(パーソル総合研究所)見込みです。なんとなくゆるやかに進行しているように見えて、実はかなり深刻度が高い課題のひとつでしょう。

では、その人手不足をどうやって解消するのか。人でしか対応できないものも多くありますが、デジタル技術を活用して社会全体のプロセスを大幅に改革していくというのもひとつです。いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)を可及的速やかに推し進める。

また、日本の得意分野でもある製造業からイノベーションを起こし、AIxロボットにより人海戦術を機械化していくという方向もあるでしょう。ロボットといっても人型である必要はありません。用途に応じてアームだけあればよかったり、荷物を運ぶのであればそもそも違う形のほうが適しているでしょう。

人工知能(AI)や計算科学の進展を背景に、新薬や新素材の開発につながるデータが大量に得られるようになったことで、研究現場に新たな問題が押し寄せている。膨大な数の候補が予測した通りの結果になるかを確かめる作業が大きな負担となっている。人海戦術では間に合わない。ロボットとAIを組み合わせて実験を効率化する試みが始まっている。

日経電子版

ロボットなど機械のよいところは、疲れることなく24時間作業し続けられること。また、反復作業を確実に、人よりも低いエラー率でこなすことができるというところにあります。微妙な人の手によるオペレーションを機械が肩代わりできるのかという技術的な課題はありますが、近年のAI(機械学習)の進化をみていると近い将来には解決可能なものに思えます。

リサイクル業では解体ビルの鉄筋のような大きく、重い産業廃棄物も扱うため長距離輸送が困難だ。広大な北海道では効率的に輸送するために各地に分別、運べる大きさに裁断する拠点が必要となる。都市部以外は労働人口の減少が急速に進んでおり、各地域での人手確保が難しい。

遠距離での操作が実現すれば労働人口の多い札幌市などで採用を進められる。駒谷僚社長は「作業着を着ないでもできるようになり現場の仕事が変わる。今まで採用できなかった人も採用できるようになる」と語る。

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場所を越えられるのもテクノロジー活用に利点です。設置や撤去には現場作業が必要ですが、人口の多い都市部においてオペレーターを訓練して遠隔操作をすれば、今日は午前は札幌の現場で午後は鹿児島の現場ということも十分に可能です。例えが適切かどうかはわかりませんが、アフガニスタンやパキスタンで対テロ戦に投入されている無人戦闘機(プレデター等)は、実は米国本土の空軍基地から遠隔操作されています。シフト勤務で自宅から通勤して、遠く中東の作戦に参加しているのです。

農業にも自動運転の波が訪れています。人が何をして、ロボットや機械が何をしていくのか。そのルールを決定するのも他ならぬ人間の仕事ですが、これまでの機械化とは違う技術革新が始まっています。

隣の席には同僚ロボットがいる。そんな時代も遠い未来ではないかもしれません。そのときにはどうやって協働していくのか。グローバル企業では英語でコミュニケーションをするように、ロボットが同僚の時代にはプログラミング言語を通じて意思疎通をしなくてはならないのかもしれませんね。


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タイトル画像提供:Graphs / PIXTA(ピクスタ)

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