キャリアとはジャングルジムである。
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
4月、新生活。ということで、新しい会社や部署に異動したという方もいらっしゃるかもしれません。私も4年半あまり勤務した会社を退職し、11日から新しい会社での業務をスタートしました。この会社はリモートワークを中心としたハイブリッドワークを推奨しているため、完全なリモートオンボーディングも経験し、なかなか学びが深い体験でした。
ちょうど1年前に『転職2.0』という本を上梓しました。企画を立てたのは2年前、まさにコロナの第一波が到来していた時期でした。働き方改革という旗をあげてはいても遅々として進まない日本社会の状況が大きく変化するのではないか、と考えました。それと同時に多くの方が現状のキャリアに悩むのではないか、激変する環境の中で異業種や異職種に移動したいと考える人も増えるのではないか。そんな方々に自身の経験が少しでも役に立つのではないかと思い、リモートワークで浮いた通勤時間を執筆に当ててつくりあげたのが本書です。
最近では「リスキリング」という言葉をよく見聞きするようになりました。スキルというのは個人につく代表的な「タグ」のひとつですが、変化の早い現代において1つのスキルだけで30年勝負し続けることは難しいでしょう。新たなスキルをつけたり、いまあるスキルをアップデートしたり、日々の学びが重要になります。
先日行われた日経Think!のオンラインイベントでは、この点について知見の深い方々と対談をしました。アーカイブが公開されましたので、ぜひご覧いただければと思います。
本編では視聴者からのリアルな質問にもお答えしていますが、その中で「全社会人が持っておくべき普遍的なスキル」として「好奇心」ないしは「学ぶ資質」こそが大事であると回答しました。
わたしはよく「面白がり力」と言っているのですが、仕事に限らず幸せな人生をおくる上で非常に重要なことだと考えています。好奇心の強弱というのはもちろん個性によるものも大きいでしょうが、その「感度」については気の持ちようであり、マインドセットです。であるならば、後天的に鍛えることもできるものだと思います。食わず嫌いをしない、まずやってみてから自分に合うかどうかを考える。未知のものを学ぶときのスタートダッシュ、そしてそのやり方を身につけておけば、どのような環境でもどのような人とも働けるのではないでしょうか。
また、キャリアアップというと、どうしても1つのハシゴを登っていくイメージを持ってしまいがちです。これはある意味しかたのないことで、学生時代から良い学校・良い企業に入ることが大切だ。1つの会社の中で昇進していくことが成功なのである、という教育を受けてきたからです。その背景には長らく運用されてきた日本型雇用、つまり終身雇用・年功序列の文化があります。
人生100年時代、終身雇用の崩壊と言われて久しいですが、この時代においては1つのハシゴというものが幻想となります。そもそもハシゴが途中でなくなるかもしれない、もしくはハシゴ時代が倒れたり壊れたりしてしまう。そのようなものを前提としておくことの恐ろしさがあります。
実はキャリアというのはジャングルジムのようなものです。ストレートにてっぺんを目指す人もいるでしょうし、途中で「横に」動く人もいるでしょう。はたまた、中に入ってしばらく足をぷらぷらして楽しむ人もいるかもしれません。要は、ゴールを何にするか、どうやってそこにたどり着くかは、完全に個人の自由。登り方すら決められていないわけです。人材業界ではよく「キャリア自律」という言葉を使いますが、まさに個々人が自律的に考えて動くことが求められていくでしょう。
冒頭で申し上げた通り、私自身もいま登り方をちょっと変えたタイミングです。どちらかというと、以前の業務に再び戻った感もあります。今後の変化に対応するために今一度初心にかえり、重くなったものは手放し、新たな知識と経験を手に入れるために必死でがんばっています(この1週間は本当に大変でした…)。
いくつになっても恐れることなく、好奇心のおもむくままに挑戦しつづけていきたいなと思います。
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タイトル画像提供:虎次郎 / PIXTA(ピクスタ)