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「まとまらない話をしよう!」--すぐに始められるナラティブ・アプローチ
会議やディスカッションの場で、「意見が出てこない」「対話が深まらない」と感じたことはありませんか?特に、組織のリーダー層は、この状況を「もっと主体性を持って発言してほしい」「リーダーシップを発揮する人材が育っていない」なんて、表現するのをよく耳にします。
でも、発言が少ない背景には、単なる意欲の問題ではなく、心理的な要因が大きく関わっていそうですよね、、、誰でも発言できる「心理的安全性をつくりたい」「フラットな関係性を構築したい」
うーん、でもいったいどうやって?
こんにちは、ナラティブベースのハルです。
今日は、わたしが長年自社の組織運営に転用してきた「ナラティブ・アプローチ」という手法をご紹介しつつ、タイトルにもある「まとまらない話」が持つパワーについて、書いてみようと思います!
対話や関係性が深まらないのはなぜ?
「意見が出てこない」「対話が深まらない」って、どうして起こるのでしょう?多くの場合、その背景にはこんな心理的な壁があります。
間違えたらどうしよう…
否定されたら嫌だな…
カッコよく話さなきゃ…
会議や打ち合わせなど、「ちゃんとしなきゃ」と思えば思うほど、人は慎重になりすぎてしまいます。そして、発言する前に「これは言っていいことなのか?」と考えすぎてしまい、結局何も言えなくなってしまうんですよね。
でも実は、そんな場の硬直を打開するのは、傾聴力でも、適切な問いでもなく、「まとまらない話をしよう!」これで十分 なんです。
発言は、まず感覚的でいい!
「話すなら、ちゃんと整理された意見じゃなきゃダメ」そんなことありません!考えがまとまってなくても 「とりあえず話してみる」ことが大事 なんです。
「このアイデア、何か違和感があるんだけど、理由ははっきりしない…」
「うまく説明できないんだけど、ちょっと気になる点がある…」
「なんとなくモヤモヤするんだよね」
これを言ってもらうだけで十分!「まとまらない話をしよう!」を合言葉に、まずは 感覚的な部分を言葉にしてみる ことで発言のハードルを下げることが、対話を深める第一歩になるんです。
断片的であればあるほど疑問が湧く
「相手の話をよく聞きましょう」「傾聴が大事!」これもよく言われることですが、「傾聴」だけが大事ではないんです。
対話が生まれるためには「発話」を作り出すことも同じくらい大事。
そして、実は「まとまらない話」のパワーは欠損していることなのです。
たとえば、こんな会話を想像してみてください。
A: 「昨日の夕食って何食べた?」
B: 「イタリアン」
A: 「へぇ、誰と?」
B: 「弟と」
A: 「え?弟いたっけ?」
B: 「昨日上京してきててさ。一緒に食べたんだ」
部分的だからこそ、どんどん次の疑問が湧いてくる。
この時点で、「弟が上京?」と新たな関心が生まれますよね。
聞く話すのラリーがたくさん生まれる。
これが、最初から「実は大学を卒業した弟が就職先の勤務地近くの部屋を探しに上京してきていて、就職祝いも兼ねてこの間みつけた美味しくて安いイタリアンのお店に連れて行ってあげたんだ。」と話していたら、疑問が湧かず、話は終わってしまっているかもしれません。
「うまく言えないけど、なんとなくこう思う」
「言葉にしづらいけど、ちょっと違和感がある」
こういう断片的な話こそが、実は 対話を生むきっかけ になるのです!
役割をわきにおく「ナラティブ・アプローチ」
「ナラティブ・アプローチ」は、専門性を脇におき、フラットな対話から相手の重要な背景を引き出し解決策を探り出すアプローチ手法です。(主に医療やカウンセリング、ソーシャルワークなどで用いられてきたこの手法を、ナラティブベースは「働き方」を変えていく手法として用いています。)
上司と部下の関係、専門家とそうでない人の関係などは、先に触れた「ちゃんと話さなきゃ!」というマインドを生み出しやすいため(病院であれば、先生と患者など)上司や専門家など、上の立場になる人が一旦その役割を脇に置くこと、相手が「まとまらなくても話していい」「断片的だけどまず言葉にしてみよう」という気持ちになる手助けをすることが大切。
そんなときに「まとまらない話をしよう!」はパワフルな合言葉になります。
関係性の質ってどうやったら上がるの?
多くの組織では、「良い関係性があるから、良いアウトプットが生まれる」と考えられています。そのために心理的安全性や、フラットな関係をつくろう!と。しかし、実際には 「共にアウトプットを作るからこそ、関係性の質が高まる」 という側面もあります。
最初はなにげなかったりチグハグな会話でも、対話のラリーを繰り返しながら、お互いの理解が深まっていく。「まとまらない話をしながら、何かを作る」という行為を重ねることで、結果として関係性の質が上がるのです。
チームでプロジェクトを進めるときも、最初から完璧な関係性があるわけではありません。言われてみれば、誰でも経験がありあますよね!
フラットな組織や心理的安全性を実現しようと、特別なルールや仕組みを考えて頭を悩ませていたらまず、普段の会話や会議、1on1などで 「まとまらない話をしよう!」 という言葉を使ってみてください。
きっと、これまでとは違う、新しい展開が生まれるはずです!
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