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「意外に評価されるスキル」はものすごく大事、という話

人生、不思議に思うことがあります。心底がんばった自信作が、意外なほど評価されない。しかし一方、「こんなんで良いの??」みたいな、誰でもできるでしょうと思える "普通のこと" に限ってやたらと褒められる。いや、評価して欲しいのはそこではなく… と思ってしまいます。

しかもそれが一度ではなく、何度か続くこともあります。こんなの、自分の「本当の力」に比べたらぜんぜんマイナーで脇役のスキルなんですけど。もっと「本当の力」の方を評価してもらえませんか? と言いたくなります。

しかしながらこういう現象は、「キャリアの鍵」につながる話だったりすると思うのです。


人間、どうしても自分がやりたいことをやりたいし、本人としてはそれを推していきたい。それがイケてる道だとも思ってるし、せっかく、時間を割いて勉強していることでもあるし。

しかし、「それ」が自分の一番の強みだとは限らないのが世の中です。逆に自分からすると「意外にも」評価されるポイント、それこそが自分の真の強みというのはよくある話です。


自分自身を知ることは、かなり難しいことだと思います。だから、第三者からの客観的な意見によって、自分の(真の)能力に気づけるチャンスはとても重要です。

たとえば、実際にあった例です。
「私、きちんとした文章が苦手で。だから、SNSで投稿するのはハードルが高いんです」と悩む人がいました。

でもその人の文章を読んでみると、とても個性的で魅力的な文章であることが分かりました。そういう人の考える「きちんとした文章」とは、たとえば新聞記事とか、仕事での文書をイメージしているのかもしれません。

しかしSNSでは、別にそのような文章を目指す必要はありません。逆に、そういうテイストの文体は「固すぎる」「面白みがない」ということで敬遠されることも多いのです。


その人の文章は、確かにとてもクセがあり個性的なものだったのですが、だからこそ、人間的な魅力に溢れていました。建て前ではなく、本音で語ろうとする気持ちがリアルに伝わってくるのです。

思い切ってSNSで発信を始めた結果、たちまち人気者になりました。最初は「本当にこんなのでいいんですか?」と不思議がっていましたが、まさにそれがいい、ということが示されました。

本人が弱いと思っていた文章のスキルは、実は "ものすごく強い武器" だったということです。SNSがこれほどまでに普及するこの時代にあって、ニーズに合致する文体だったということ。もし自信がないままに何も活かしてなかったら、もったいない結果になったでしょう。


また、環境が変わると、「強み」の条件も変わるものです。

新しい環境に移ると、新人として知らないことが増えて苦労しますが、一方でこれまでの経験により、他の人よりも(相対的に)高いスキルを持つ領域があったりします。

これはある種、「異世界転生」に近い状況かもしれません。

たとえば私の場合、2010年頃にNGO業界に飛び込んだのですが、それまでに会社の起業から売却までを経験していたために、「事業モデル」を考案して実際に構築する力がすでに備わっていました。

そのNGO界隈では「自立のための事業収入をどうやって得るか」が課題だったので、そこで私の経験が大いに歓迎されました。NGOの世界は未経験だったので新人としてたくさん勉強せねばと覚悟してましたが、私にとって「あたり前」の経験がこんなに役に立つのか… と驚いたことを覚えています。


https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE0622X0W5A200C2000000/



「自分が(実は)持っている貴重なスキル」は、自分の中だけで考えていてもなかなか見つかりません。やりたいことは分かったとしても、「得意なこと」は、人からの評価によって明確になることが多いのです。

だからこそ、人との交流が重要だということです。多くの人との接点や交流が多いほど、「自分では気づかなかった能力」に気づきやすくなります。単一の世界では見えてこなかった能力が、他の世界ではものすごく貴重だ、というケースは少なくありません。


だから、「なぜか褒められる」ことがあるとすれば、それをとても大切にした方がいいと思います。何をおっしゃるこんなの簡単ですよ、と軽く考えず、なぜそれが評価されているかを真剣に考えてみることです。

今日現在において、キャリアやスキルの形は様々です。今持っている力を、展開して新しく応用することもできます。だからこそ、自分が持っている潜在的な力をきちんと把握しておくことはとても重要。

成果を上げている人は、自分の持つ力について良く知っている。だからこそ、自分自身のことをもっともっと研究したいものです。

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