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初COMEMO投稿:地方の移動課題の解決にライドシェアはどこまで有効か?

はじめまして、MaaSスタートアップPathfinderの小野崎です。
この度、日経COMEMOに投稿させて頂ける事になり、これから月数本は投稿して参ります。
テーマとしては、MaaS、モビリティサービス、自動運転、交通、旅行など、移動にまつわる様々な社会課題について触れていきます。今後にご期待ください。

さて今、「地方の移動課題」が世の中を賑わしており、ライドシェアなどはスタートアップの炎上含めよく話題に上りますね。
私はPathfinderというモビリティサービスのスタートアップを創業し、地方へもエリアを拡大しているため、この「地方の移動課題」について社内とも提携会社とも日々話しています。
本稿では、様々な地方の移動課題の中で、ライドシェアがどんな位置づけになり得るのか、考えてみます。

Q:「地方の移動課題の解決にライドシェアはどこまで有効か?」

A:「ある一定の規模を下回った地方では、運転手が集まらないので有効な解決策にならない」※筆者見解

日経でもライドシェアの政治的な動向のニュースのあとに、ドライバー確保の難しさへ言及しています。東京以外の神奈川、大阪、京都では苦戦していると報じています。
100万人以上の都市ですでに難しく、数十万人の都市がドライバー不足を埋める「昼間のライドシェアドライバー」を確保するのは容易ではないと言えます。


出展:日経新聞11/5誌面「ライドシェア全面解禁、しぼむ機運 衆院選でも論戦低調」


「地方」でもエリア毎に異なる「地方都市、地方観光地、過疎地」

地方と言っても、エリア毎に様々な特性の違いがあります。
例えば、弊社では
①地方都市
②地方観光地
③交通インフラ不十分な地域&過疎地
くらいには分けて議論をしています。

①地方都市:人は居るため、まずは既存交通手段の効率化、スリム化が進行中

・既存交通の状況
 鉄道は徐々に廃線
  →BRTやLRTへの置き換えが進行中
 バスは不採算路線を補助金で支える事が難しくなってきた
  →デマンドバス(SWAT Mobility等)で少ない台数で利便性を維持する方向

・新規プレイヤー
 カーシェア増加(タイムズさん、オリックスさん、弊社カタレンも)
 相乗りタクシー(NearMeさん等)
 運転代行プラットフォーム(Alpaca Lab.さん等)
 ライドシェア(夜ならドライバー確保可能か)

・近い将来
 広い道路を活かした、低コストで採算取れる自動運転技術
 →自動運転なグリーンスローモビリティ ※電動の低速EV


②地方観光地:すでに日中を支える住民は少なく、タクシー不足。バスも観光地を結ぶ路線以外は不採算

・既存交通の状況
 鉄道は今でも地域の入り口までしかなく、地域内の周遊には使われているケースは少ない
 バスは土日のみ増便も、平日は不採算で統廃合進む
  →効率的なデマンドバスは既に運行してるがそれでも利用客が少なく
  →タクシー乗り合いに移行しつつある

・新規プレイヤー
 観光客自ら運転するカーシェア、小型モビリティ(e-Mobiさん等)
 シェアサイクル(ドコモ、Hellocyclingさん等)
 電動キックボードシェアリング(LUUPさん等)

・近い将来
 タクシーはもう少ない地域が多く、タクシー会社が主導する」タクシー型ライドシェア」(日本版ライドシェア)は導入スピードに課題。
 観光ガイドが運転する「観光ガイド型ライドシェア」が先に普及するのではないか?

③交通インフラが不十分な地域&過疎地は↓にまとめます。

交通インフラが十分ではない地域~過疎地「交通空白地」の動き

人口の少ない地方で、さらに交通が不便なところを交通空白地と呼ぶようになっています。
定義はまだ固まっておらず

半径1km以内>にバス停や駅、海港、空港がない集落

地域公共交通確保維持改善事業費補助金交付要綱

都市部では駅から半径500m以上、バス停から半径300m以上、地方部では駅から半径1000m以上、バス停から半径500m以上

地域公共交通づくりハンドブック

と、ある程度、駅やバス、空港から離れており、
かつタクシーが30分以内に来ない場所とされているようです。

このエリアからさらに過疎地の領域になると、もはや民間で収益を上げつつの交通インフラ維持は困難です。
そのため、公共交通機関の代わりに自治体やNPOが無償で交通インフラを担っており、それも限界を迎えつつあるため、例外的にNPO等が廉価ではあるが有償でタクシー的な運用を出来るようにしています。
直近ではドライバーを確保するため、「公共ライドシェア」という概念にUpdateして、対象を拡大させています。


・既存交通の状況
 バス・鉄道はすでに無し
 自治体/NPOによる、住民へ通院のための無償タクシーチケットの配布
 自治体/NPOによる、職員が運転するデマンドバス的なワンボックスカーで無償送迎
 NPO等による有償のタクシー的な運送※
 ※自家用有償旅客運送とは
 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000012.html

・新規プレイヤー
 公共ライドシェア
  ドライバー:NPO、シニア、都会の若者派遣
  運行主体:公的側面を持つ団体
  運賃:タクシーの8割を目安

 ※公共ライドシェアとは
 https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000334295.pdf

・近い将来
 自動運転車による低コストな移動
 その先はインフラが維持できず
 乗用ドローンor近隣都市部への移住(コンパクトシティ化)となります。

このようにライドシェア以外も含め、既存手段や近い将来についても幅広く言及してみました。
皆様のお住まいの地域、出身の地域がどうなっていくのか、どうしたら良くなるのか、ご意見頂けますと幸いです。



紹介:我々の片道レンタカ―「カタレン」について

カタレンは主に長距離の都市化に移動と観光地を結んでいます。地域内の住民の足である「公共交通」の分野ではなく、主にレジャー・旅や出張の用途でお使いいただいております。

直近では東京-宇都宮を結ぶ路線を開始しました。
大手のレンタカー会社様の回送車両を活用し、お得に片道移動できるサービスです。新しいエリアについては、自社の車両を使ってカーシェアタイプで24時間無人で運用しておりますので、深夜早朝の公共交通がない時間の移動にも便利です。
よろしければ是非ご利用ください。

未来のカタレンチームメンバーへ

カタレンはシェアリングだけでは解決できない、シェアリングの負の部分・社会課題を解決しつつ、我々ユーザーとしても便利になるサービスを目指しています。
新しい体験を作る上で重要になるのが、日々仮説検証を繰り返して、より良いサービスを作り込むメンバーの皆さんです。
ご興味頂けましたら、我々がどんな世界を目指しているのか、私が何者なのか、是非こちらの記事もお読みください。

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