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組織に溢れる裸の王様にさせない&ならないために出来ること。

こんにちは。Funleash志水です。いつもNoteを読んでくださり、ありがとうございます!あっという間に7月・・今年も半分が終わりました。ここまで頑張ったご褒美にしっかり休暇をとって下半期を迎えたいですね。

仕事から離れて前半の振り返りをされる方もいらっしゃるかもしれません。成長には「振り返り」あるいは「内省」が欠かせないため、最近は人材育成やリーダーシップの観点からこれらの言葉が使われることが増えました。

自分の大切にしている価値観や行動、感情、習慣などを理解することを「自己認識」と呼びます。自分に対する理解が深ければ深いほど、つまり、自己認識が高い人ほど自分を改善できるスピードが速い。自分の行動やそれを引き起こしている理由を知ればそれを修正することができるからです。

諸外国と比較すると、日本の管理職層は「セルフ・アウェアネス(自己認識)」とチェンジ・アジリティ(変化に対する敏捷性)が著しく低いというデータがあります。

優れたリーダーとして最も重要な2大要素が低すぎる・・・数年前に複数の調査会社によるレポートを見たとき、ショックではありましたが、驚きはありませんでした。

ご自身の組織の役員、部長、課長などを思い浮かべてみてください。確かにと思いあたることがありませんか?

先日、知人から興味深いエピソードを聞きました。その方をAさんとします。

Aさんが所属する組織では、「より良い職場にしよう」という社長の掛け声のもと、事業部の責任者と社員の皆さんがオープンに意見を交換し、議論する場を設けることになったそうです。
Aさんはセッションを企画し、ファシリテーターの役割を依頼されました。

「うちの部門は皆んなアイデアとかたくさんあるからしっかり頼むよ」
Aさんは、事業部門の責任者であるB部長から事前にそういわれました。

ところが蓋を開けてみると議論はほとんど盛り上がらず、ズームのブレイクアウトルームではメンバーは画面オフのままで参加。セッションを通して話すのはB部長ばかり、メンバーからの意見はほとんど出ない状態。
場の雰囲気が息苦しくなってしまったそうです。

Aさんは終了後、自分の力不足だったと落ち込んでいました。事業責任者であるB部長に盛り上がらなかったことを謝罪するために連絡したところ、B部長は満足げに言ったそうです。

「いやー良いセッションだったね!」

Aさんは、「セッションに対する印象」がB部長とあまりに違ったため驚き、B部長とメンバーの関係性が心配になったそうです。想定通り、メンバーもAさんと同じ印象を持っていました。

なぜ、このような認識のズレが起きるのでしょうか?

人間の意識には盲点というか、死角がたくさん存在します。私たちは見たいように見る、理解したいように理解する傾向があります。物事を正確に認知できず、自己イメージに偏りがあるため、失敗や自分の欠点にはなかなか目が向きません。
誰もが、自分自身の中に自覚(意識)している自分と無自覚(無意識)の自分がいて、自分自身を完全に理解することは困難なのです。

自分自身を客観的に理解するにはいくつか方法があります。内省だけではそれは難しいといわれています。自分の行動や偏り、強み・弱みなどについて
「自分以外の周囲からの意見を得ること」、つまりフィードバックをもらうことが最も効果的な方法だそうです。自己認識を高める最大の方法は他者の視点を持つこと。

日本の組織において管理職層の「自己認識」が極めて低い理由は、心理的安全性が低い職場であるというのが通説です。上司の欠点を指摘したら評価に影響する、関係性が気まずくなる、仕返しされるかもしれない・・恐れを多くの感じている人が多いようです。

けれどもこの状況を放置したままでは組織は変わりませんし、最高の職場になることは絶対にありません、

もう一つ例をあげましょう。

クライアントである大企業の部長に360度評価の結果を説明&フィードバックをする機会がありました。終わったあとに一人の年配の男性が相談があるといいます。ここでは仮にC部長とします。

C部長は自分自身の「自己認識」領域におけるスコアの低さにショックを受けていました。部下とは飲みに行ったり良い関係だし、何でもいえるような関係を築いていると主張します。

部門のチームミーティングについて私は質問をすることにしました。

C部長が毎回ミーティングの進行役をつとめ、指示したいことを伝えることが目的の場になっていました。C部長はメンバーに伝えたい情報量が膨大であり、時間を有効に使いたいという意図があったそうです。
けれども無意識のうちにメンバーが発言しづらい場になっているかもと考えいくつか問いかけました。

・ミーティングで本当に達成したいことはなんでしょうか。
・C部長の意図はメンバーとシェアしていますか。
・メンバーの皆さんはミーティングに価値があると感じていますか。
・メンバーからの意見をどれくらい取り入れていますか。

頭の良い彼ははっと気づいたようでした。ミーティングをもっと自由闊達な意見の交換の場にしてみたいので意見がほしいとメンバーに話してみますとその場をあとにしました。

数ヶ月後にC部長に変化が見られたか聞いてみたところ、メンバーからの提案を積極的に取り入れたそうです。

・メンバーが順番にチームミーティングの進行役を変える
・情報交換はメールで行い、ミーティングでは議論を行う

これがきっかけでミーティングだけではなく、メンバーからこうしたほうがいいのでは?と部長に提案するようになったとか。 

冒頭のB部長とは違い、気づいたらすぐに行動するところが素晴らしいですね。

下記の記事にもあるように威圧感だけの上司はチームにとって悪でしかありません。

今までのような会議をしていたら、若い人はついてこないでしょう。
昔ながらの上司というのは、ただ「その場にいる」だけで存在感を示し、部下を威圧していました。そういうリーダーは、もう要らないのです。


ヒトよりコトへ視点を変える

他者からのフィードバックは自分の引き出しを増やし改善につなげるための「貴重な情報」です。とはいえ、自分の上司や先輩の行動について、特に問題を指摘するときには、ありのままを指摘することは勇気がいりますよね。

そういう場合にはその人自身の言動に関して指摘するのではなく、「組織・チームをより良くするためにこうしたらいいと思う」と提案してみることです。目線があがるため上級職の方が歓迎してくれる可能性が高くなります。即効性を期待すると落胆してしまうので、取り入れてくれたらラッキー!そのくらい軽い感じでトライしてみましょう。耳を傾けてくれるようになったら行動のフィードバックへ進めてみると良いでしょう。

質問してみる

うー-ん、この人なぜこういうことを言ったりするのか全く理解できない。

もやもやする上司や幹部とのやり取りに直面したら、もやもや悩むまえに

「どういう意図があるのでしょうか?」と率直に聴いてみませんか。可能ならば「もやもや」を言葉にしてみるとよいでしょう。

上級職の人は時に余裕がないため「言わなくてもわかってくれるだろう」という暗黙の前提で、説明を省略したりしますよね。(これはこれで問題ですが)

特定の人の短所を指摘したり、懸念を伝えるのはハードルが高くても、決断や行動の裏側にある意図を聞いてみることで「もやもや」の解消に至ることがあります。 

非現実的な指示や非倫理的な発言・行動については「No」ときっぱり言うべきです。他方、よく話してみたら理解できることも多々あります。
フィードバックをしづらいときには相手に「気づき」を与えるためにも質問をするだけでも効果があります。

フィードバックを成長につなげるリーダーたち

今まで私が一緒に働いてきたリーダーに共通している特徴は、自己改善のために他者からのフィードバックを常に求めていたこと。

「自分の行動どうだった?もっとこうすればいいと思うところがあったら率直に教えてほしい」

彼らの口からは自然にそんな言葉がでていました。

自分が知らないことは直に認める、ミスをしたら謝まる。自分の知識不足を認識し、積極的に模索していました。学びに対しても貪欲。知らない領域についてはどんな相手からもフラットに学ぼうとする。多くの人たちから尊敬を集めていました。

冒頭に伝えたように、日本の管理職層については「リーダーシップを磨くための入り口」でもある自己認識の領域において大きな課題があります。

うちの会社では無理。うちの会社にはそんな上司はいない。ほんと、裸の王様ばかりなんです。

他者、特に自分より職位の高い組織の上層部を変えることは簡単なことではありません。でも、自分がワクワクして働きがいを感じる組織、自分自身が気持ちよく働けるような職場に少しでも近づけるには、組織の中でより良い幹部や上司やを増やすことが近道なのです。

経営者であっても部長であっても完璧な人はいませんし、誰もが学び、成長し続ける必要があります。  

研修を受けたり、いろんなセミナーにでたり、ネットにあふれる記事を読んで学ぶことより効果があること。

それは、幹部や上司に「気づき」や「ひらめき」を与えらるには自分は何ができるのか、耳を傾けてもらえるためにどんな質問や言葉を投げかけたら良いのかを考えてみることです。自分の内省そして成長にもつながります。

誰かにとって有意義なフィードバックができているだろうか?
自分の行動に他者の視点を取り入れる努力をしているだろうか。私も意識ながら毎日仕事をしようと思っています。