金融政策は退屈で良い
記事はECBの近況にフォーカスを当てていますが、FRBも9年半ぶりの利上げに着手する2015年12月の1年半前(14年6月)から金利とドルが著しく上がっており、その後は減速感が強まるという経路を辿りました。今回のECBも今のとこ同じ道程にありそうです。しかし、ECBの場合、実際に着手していないにもかかわらずこれだけ金利や通貨が上がってしまったことについて、決して磐石ではない周縁国が耐えられるのかという構造的な論点があります。この点は極めて不透明と言わざるを得ません。
なお、この記事で最も気になったのは「今後市場への影響力という面で、イエレン氏がドラギ氏から優位を奪えるとすれば、米国の政策金利が現在の想定と異なる経路をたどるとほのめかし始めるケースだけ」という指摘です。しかし、およそ金融政策は市場をびっくりさせるためにあるものではなく、本来、粛々と実体経済の安定を企図しながら運営されるものであり、語弊を恐れずに言えば、退屈で良いはずです。イエレンとて自分の情報発信に過剰反応して欲しいとは思っていないでしょう。事実、イエレン議長はB/S縮小について「run quietly in the background」を希望していると述べています。
金融政策を「お祭りのネタ」のように扱いたいのはメディア側の思いであり、中銀本体としては必ずしもそうではないという整理はしっかりした方が良いかと思います。まして、今のFRBはユーロ高/ドル安の方が正常化を薦めやすくなってむしろ望ましいわけですから、影響力は小さい方が良いと考えているのではないでしょうか。。
https://jp.reuters.com/article/ecb-frb-breakingviews-idJPKBN19K02A?sp=true
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