失敗すると思って始めたら、絶対に失敗しない。
私が代表を務める会社・MISSION ROMANTICが運営するチャプターズというオンライン書店。
本に出会いを掛け合わせ、"本棚で手と手が重なる偶然の出会いを生む"という少々軟派なコンセプトを掲げておりますが、実態は書店業が7割。曲がりなりにも書店主として日々精一杯生きております。
そんな書店業界に身を置く私たちにとって、ビッグニュースが先日発表されましたね。
大手出版社のCCCと紀伊国屋書店、そして取次の日販の3社で本の仕入れの根幹にテコ入れをするための新会社を設立するとのこと。
記事の中では、日本全国の市町村ではすでに4分の1を超える自治体で書店がゼロになっている実態についても触れており、2年前に私がチャプターズを始めた頃から比べても、書店閉業の流れは加速しているように感じます。
そんな状況を悲観することは簡単ですが、大手がこうして手を結び新しい一手を投じる動きは、僭越ながら一書店主として率直に嬉しくなりました。
公開された資料の中には「賛同する他書店との合流」についても触れられており、業界全体で街からこれ以上書店が消える現象をストップしようという志が感じられます。
小さな書店は売上減少と合わせ、後継者不足も閉業の要因の一つに挙げられます。
今は大手ですら閉業や赤字が続き書店業界全体が危機に直面している訳ですから、今回大手書店での利益改善が見込めたら、そうした後継者不足の小規模書店との連携や統合などの可能性も見えてくると思います。
業界大手も新しい #仕事のスタンス で動き始めている様子から、私も小さな書店として、影響力は小さくとも考えること・動くことを続けなくては改めて感じている次第です。
私自身の #仕事のスタンス というと、いつも大切にしていることが1つあります。
現在、自身の会社では新たなプロジェクトを2つ動かしており、どちらも未完成ゆえ具体的にお話しするのはもう少し先になりますが、このスタンスがあるから私は新しいことを始めることにあまり躊躇いがないのです。
笑っちゃうくらいにうまくいかない日々、そして世に出たとて素人同然のレベルにはなるのですが、それでもやってみる理由は
失敗するなら早い方がいい
私はこの考え方をとても大切にしているからです。
時々お受けする起業家インタビューなどで、座右の銘や将来の展望について聞かれることがあるのですが、なかなかうまく伝えられない期間が続いたのち、この表現に辿り着きました。
当たり前ですが、何をするにしても、最初は絶対に素人から始まります。
それなのになんだか20代後半に差し掛かった途端に、「失敗したくない」「カッコ悪いと思われたくない」といった気持ちが先行するように。
頭に新しいアイディアが浮かんでも、笑われるかもしれない…
挑戦したいことに出会っても、今更やってもカッコ悪い…
そんな先入観から身動きが取れなかった時期が、自身の20代後半だったように思います。それが28歳で起業する時、この言葉に大きく突き動かされたんです。
「成功しようと思って始めない、失敗するなら早くしよう。」
成功するために挑戦すると人は考えがちですが、考えれば考えるうちに不安要素はもう挙げ切っているなと気がつき、それでも毎日頭からチャプターズ開店の渇望が頭から離れなかったんです。
それで、「じゃあどうせやるなら早く失敗しよう」と考えた途端に楽になり覚悟が決まりました。
私の人生を変えた本、パウロ・コエーリョの「アルケミスト」ではこんな一説があります。
使い古された引用ですが、私はこの一文に出会った時に思ったんです。1988年、今から30年前に発売された本と私が考える悩みが同じということは、人生の本質なんてそう簡単に変わらないんだなと。
アルケミストではこの後に「僕がたとえ旅に出ても、羊はいずれ僕を忘れてしまうけれど、僕が羊飼いになったら僕の中の旅に出たいという思いが消えることはない。」といった文章が続きます。
起業直前にちょうどアルケミストを読んだこともあり、私はこの時、冗談じゃなく人生で初めて棺桶に入る自分を想像しました。
棺桶の中にいる自分は、恐らく今挑戦しないと「あの時こうしていれば…」と後悔すると思ったんです。
一度芽生えた強い思いを打ち消すためには、向き合わないといけないと教えてくれたアルケミスト。自分の中からふと湧き出た「成功しようと思って始めない。失敗するなら早くしよう」という言葉。
そこから気がつけば30歳で自身の事業に一本化、資金調達を経験し、今33歳で新しい挑戦を2つ抱える日々になっていました。
いつも何かを始める時は、考えに考えた上「失敗するなら早い方がいい」と思えたら動きます。
今抱える2つの挑戦も、失敗してもいいからやりたかった。逆を返すとそれくらいやることに価値があると思ったんです。
どんな人生にも挑戦はつきもの。
自分がたとえ会社員を続けていても多くの挑戦に溢れていたと思うのですが、#仕事のポリシー と聞くと、どうしてもあの時のことを思い出すのでした。