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オープンイノベーションのお手本は自動運転車だった

グローバル規模で日々進化し続ける市場において、昔のような「自社開発至上主義」はときに時流に乗り遅れることになります。特に大企業にとってはいかに市場のスピードに合わせて機動的に意思決定していくかが大切です。

最近ではオープンイノベーションと呼ばれる手法により、会社の枠を越えて広くパートナーシップを組むなど各社が切磋琢磨しています。

■ 自動車の製造手法に変化のきざし

この取組みをうまく活用しているのが、いま話題の自動運転車です。3万点以上の部品が必要と言われる車の製造においては、自動車メーカーを頂点とした「系列型ピラミッド構造」になっています。繊細な部品の特性を理解し、うまくすり合わせることが自動車の競争力を左右していました。

しかし、最先端の自動運転車においてはその常識に囚われず、積極的にスタートアップのテクノロジーを取り入れながら製品開発をしているようです。

自動運転車は周囲の状況を把握し、それに対応するため様々なテクノロジーを組み合わせている。こうした技術を手掛ける企業には、特定の部品に特化し、自動車メーカーや1次部品メーカーと提携して自社製品を拡大する会社もあれば、米Zoox(ズークス)や米Nuro(ニューロ)のように全てを自前で設計する企業もある。

記事中のカオスマップを見てみると、要素技術ごとにそれに特化した会社が機能を担っているのがわかります。カメラからモノを認識したり、そのためのセンサーであったり。

■ 要注目の新技術とは

この中でわたしが注目したのが、運転手のデータ、シミュレーションを行う技術です。

公道での走行テストやシミュレーションは、自動運転技術の開発に不可欠だ。これを使って走行を指示するアルゴリズムを訓練するからだ。

米ランド研究所によると、自動運転車が安全性を証明するには、数億~数十億マイルの走行が必要になる。実験車両でこれほど長い距離のデータを収集しようとすると、何年もかかってしまう。

そこで、各社はシミュレーションで走行距離を稼いでいる。

自動運転のソフトウエアはAI(機械学習)の塊。様々なパターンに対応した運転行動を、人と同じレベルで判断できることを目指して開発されています。そのためには膨大な量の走行データが必要で、これを実車を走らせてすべて賄うのは至難の業です。ところが、この(仮想)運転手はソフトウエアであるため、実際に走るかどうかは実は関係ありません。そのため、シミュレーターにより走行実績を積み重ねることで同等の効果を得ようというのが、上記の試みです。

■ AIの訓練をAIがする時代に

今回は自動運転の例をとりあげましたが、今後急速に普及が進むAI。そのときに常に付きまとうのが、訓練をどうするかということです。シミュレーターにより仮想的にこれを行うというのが1つの解ではあります。近い将来には、AIの訓練自体をAIが行う時代がくるかもしれませんね。

ソフトウエアの進化がわたしたちの世界をどう変えていくのか? ワクワクしながら、その進化を追っていきたいと思います。


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