バルミューダの魅力をジョブ理論で分解してみる
12月に東証マザーズに上場が決まったバルミューダ。
本日は、バルミューダの魅力を『ジョブ理論』のフレームワークを活用して深堀りしていきたいと思います。
自然の風を再現する扇風機や、2万円超の高級トースターのヒットで、国内家電市場に風穴を開けたバルミューダ(東京都武蔵野市)が12月に東証マザーズに上場する。電機大手の家電が海外で売れず、国内に照準を定める中でも、外資を含めキラリと光る専業メーカーは増えつつある。先駆者となったバルミューダの上場は家電市場の一つの転換点とも言える。
バルミューダは、トースターや扇風機など、既に大手家電メーカーが存在する市場において『バルミューダ 』だからこそ高くても買いたい!と想起される存在になっています。
社長である寺尾玄社長のこだわりや感性が注目されることが多いですが、バルミューダが売れる・愛される理由を、もう少し再現性ある形に分解してみたいと思います。
そもそもジョブ理論とは何かの整理
人々が商品やサービスを自らの生活に「雇用」するのは
そこに「片付けるべきジョブ」があり、
ジョブを片付けることで「進歩」するためである
Clayton M. Chiristensen
顧客はジョブ=「特定の状況で顧客が成し遂げたい進歩」を片付けるためにプロダクトやサービスを雇うという考え方です。
ジョブ理論の整理
・顧客は、
・特定の状況において、
・3つの課題を解決して、
・自分自身が描くゴールを達成するために、
・ブランド(プロダクトやサービス)を雇用する
図解するとこのようなイメージです。
バルミューダのトースターの価値をジョブ理論で整理
この動画を見ると欲しくなります・・・
さて、ジョブ理論で整理していきましょう。
バルミューダ・トースターが解決している3つのジョブ
・特定の状況
仕事で忙しくなっている状況の中で
↓
①機能的ジョブ
自宅で美味しくトーストを食べる機能的なジョブ
②感情的ジョブ
毎朝に豊かな時間を過ごす感情的なジョブ
③社会的ジョブ
人を招く時にバルミューダを揃えていることを誇れる社会的なジョブ
↓
・ゴール
豊かな時を過ごす
バルミューダは、綺麗に機能的、感情的、社会的なジョブを解決しています。
売れるブランドは、感情的・機能的ジョブが鍵
体験やストーリー設計が大事だと言われることが多いですが、
体験・ストーリー設計
=機能的ジョブ+感情的ジョブ+社会的ジョブの雇用
と考えるとわかりやすくなると考えています。
機能面は誰もが大事に設計しますが、大事なのは感情的・社会的ジョブの設計です。
機能しか提供できない解決策はたやすく解雇される。一方で感情的および社会的側面が深くかかわる解決策は、解雇されにくい。現状にいくら不満があり、新しい商品がいくら魅力的でも、何かの雇用へと引っぱる力が、ためらわせる力よりも大きくならないかぎり、人は新しいものの雇用を考えようとしないのだ。
書籍・ジョブ理論より引用
機能的な価値を提供するだけでは、長く愛してはもらえない。
これ、当たり前だけど忘れがちですよね。
ユーザーの人生と向き合うバルミューダの開発思想
下記の記事からは、バルミューダの商品開発は、機能以外のことを設計することに時間が費やされていることがわかります。
「バルミューダの開発チームが議論するのは『使うユーザーの人生について』。人の生活を通して、製品のあるべき姿を考えていく。
マーケティング活動は「目に見えやすい」機能訴求に集中しがちです。
顧客に愛され続けるためには、感情的なジョブ、社会的なジョブもあわせて解決することの重要性をバルミューダは教えてくれます。
そして、商品だけではなく、組織文化にも感情や社会的なジョブと向き合う仕組みを埋め込んでいるのがバルミューダの強さだと感じています。
『バルミューダ 奇跡のデザイン経営』は、そもそもデザインの力とは何かを考えさせられる良書です。
感情価値、社会価値の設計をバルミューダで豊かな時間を過ごしながら思い出せるようにしたいですね。
最後まで読んでくださいありがとうございました。