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旧姓利用男性同士の対談から、ダイバーシティについて考える

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

本業では「LinkedIn」(リンクトイン)という世界7億7500万人以上が利用するビジネスSNSサービスの日本版を運営しているのですが、コロナ禍での新しい試みとしてライブ番組を(ほぼ)毎週やっております。仕事専用のSNSということもあり様々な専門家の方々が利用していますが、そのときの旬なテーマに合わせたゲストをお招きして、私と40分対談するというトーク番組です(ウェビナーのようなプレゼンタイムとかはなく、100%トークのみです)。

6月はプライド月間ということもあり、LGBTQ+を始めとしたダイバーシティ関連のテーマに注力してやっています。6月11日には最近議論もよく目にするようになった「選択的夫婦別姓」について、訴訟や署名運動などもやっているサイボウズの青野さんをお招きして徹底議論しました。

※ 上記リンクが見られない方はYouTubeで「リンクトイン編集部」を検索してみてください。

そもそもいまどのような状況なのかは、以下の日経の記事が参考になるでしょう。2015年時点での最高裁大法廷の判断では、1/3である5人が憲法違反とする意見を表明しました。

「夫婦別姓」をめぐる司法判断が再び注目されている。最高裁大法廷が改めて憲法判断を示す見通しだ。選択的夫婦別姓の導入の是非を巡る議論は活発化しており、社会情勢の変化を司法がどう受け止めるかが焦点だ。

夫婦同姓は「夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を称する」とする民法750条によって定められている。最高裁大法廷が2015年に「夫婦同姓は日本社会に定着しており、合理性がある」として合憲だと認めた際も、女性裁判官3人を含む5人が憲法違反だとする意見を表明した。

「改姓でキャリアが分断される」「アイデンティティーの喪失につながる」。様々な理由で夫婦別姓を求める声は根強い。最高裁判決後も司法判断を仰ぐ動きは後を絶たない。

選択的夫婦別姓については様々な調査がなされています。調査方法の違いもあり単純には比較できませんが、昨年の調査では賛成が7~8割程度となっています。属性でみると、若年および女性が賛成の割合が多いようですが、男女共に現状維持(夫婦は同性を名乗るべき)を求める世代というのが存在します。それは「70代以上」の男女であり、約半数の方が現状維持を支持しており、60代でも3割程度、他が2割未満であるのと比較すると、この世代だけが突出していると言えます。

内閣府や他の省庁が実施した同様の調査を遡ってみると、10年前でもほぼ同じ傾向が見られています。「同じ意見を持った人が年をとった」とすれば、10年前は60代も半数が現状維持のはずですが、どうもそういうことではないところが興味深いです。仮説としては、70代になると法律変更など社会的に大きな制度変更に対して保守的になりやすい、これまで問題なかったのだからいいじゃないか、と思うようになるなどが考えられます。(実際のところよくわかりません)

さて、ライブの内容に話を戻しますと、今回の対談はとても珍しいものだったと思います。なぜかというと、どちらも日本に4%しかいないと言われている「旧姓利用の男性」同士の対談だったからです。当事者の声が表に出てこないと理解が進みにくいと言われるダイバーシティ推進ですので、ぜひ一度当事者同士で対談をしてみたかったのです。今回、その想いが叶いました!

私自身が旧姓利用でモヤモヤしていることは、以前にも何度か記事にしています。

議論の中で度々話題になったのが「選択肢を増やす」ことの重要性です。ぶっちゃけ、大多数の人には影響がない話ではあるんですよね。ただ、それを切実に望んでいる人々がいるということを理解してほしい。そして、「社会の幸せの総量」を増やすことが豊かな社会なのだとすれば、理解して認めてもらうだけでそれが増える方法があるということ。つまり「インクルージョン」の考え方が広まるといいなと思います。これは選択的夫婦別姓だけでなく同性婚やその他の議論にも通じることでしょう。

青野さんの言葉で印象的だったのが、「ダイバーシティはすでにある」ということです。そうなんですよね、社会にはすでに存在している。それをどう受容し、幸せの総量を増やすのか。私にも経験がありますが、自分がベビーカーを押してバスや電車に乗るまでは、いかに段差や階段が多いか、エレベーターが整備されていない場所が結構あるのか、と言ったことに意識が向くことはなかったです。

当事者の声に真剣に耳を傾けること。そこから、建設的な議論が生まれるのだと思います。

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※ タイトル画像はLinkedIn News編集部LIVE!の録画からのキャプチャです。

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