情報が氾濫するネット社会。フィルターバブルを乗り越えるには
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
関東甲信越は梅雨明けかもという晴天で、いよいよ真夏日が続きそうな予感がする今日このごろ。わたしの勤務する会社は6月が年度末でして(珍しいですよね)、この影響でCOMEMOも間が空いてしまいました。ようやく一息つけそうなので、こうして執筆することができます。
時間に余裕があるときには、なるべく本業とは「関係のない」情報に触れるようにしています。わたしは長らくIT企業に勤めていることから、インターネットの可能性や未来に楽観的なタイプです。しかし、その功罪も意識しています。つまり、気づかないうちに自分好みの情報「だけ」に接してしまい、意図せず自身にバイアスがかかっていく危険性です。
米国でのトランプ騒動、またコロナ禍でのデマの問題などで認識した方もいらっしゃるでしょう。総務省の情報通信白書においても、インターネット上での情報流通の特徴として「エコーチェンバー」や「フィルターバブル」が挙げられています。
米国の法学者サンスティーン(2001)はネット上の情報収集において、インターネットの持つ、同じ思考や主義を持つ者同士をつなげやすいという特徴から、「集団極性化」を引き起こしやすくなる「サイバーカスケード」という現象があると指摘した。
集団極性化とは、例えば集団で討議を行うと討議後に人々の意見が特定方向に先鋭化するような事象を指す。討議の場には自分と異なる意見の人がいるはずなので、討議することで自分とは反対の意見も取り入れられるだろうと思われるが、実際に実験を行ってみると逆に先鋭化する例が多くみられた。
(筆者略)
こうしたもともとある人間の傾向とネットメディアの特性の相互作用による現象と言われているものとして、「エコーチェンバー」と「フィルターバブル」が挙げられる。
SNSは便利なツールですが、自らフォローすることで情報の取捨選択をしています。最近では書籍の要約サイトが人気を集めており、取得する情報の幅を広げているという利用者の声もあります。
無料含む会員68万人以上のビジネス書要約の「フライヤー」を利用する30代のAIエンジニア、梶山博史さんも「読む本のジャンルが広がった」と話す。ネット社会では情報が氾濫する一方、自分好みの情報にばかり触れる「フィルターバブル」の問題もある。書籍要約は視野を広げるためのツールになっている。
わたしも書籍は紙・電子共に、なるべく本業とは関係のないものを読むようにしています。ジャンルはなんでもありで興味の赴くままに読んでいますが、最近は生命科学系の本や論文が多いです。きっかけは、COVID-19のワクチンです。
モデルナという会社名はいまや有名になりました。実はこの会社は2010年設立という新興のバイオテクノロジー企業で、今回脚光を浴びているmRNAを利用した新しいタイプの創薬をするための技術プラットフォームを開発しています。NAQDAQにも上場しており、ティッカーシンボルはなんと「MRNA」。今回のワクチンがローンチプロダクトかつ大ヒットとなり、10年越しの努力が実を結んだと言えましょう。
最近読んで多くの人にオススメしたいのが、『LIFE SCIENCE 長生きせざるをえない時代の生命科学講義』(吉森保著/日経BP)です。ノーベル生理学・医学賞受賞大隅良典氏の共同研究者である著者が、高校生でもわかるくらいの平易な語り口で最新の内容を解説してくれます。
みなさんのおすすめの本はなんでしょうか?ぜひCOMEMOに要約や解説を書いてみてくださいね!
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タイトル画像提供:Rhetorica / PIXTA(ピクスタ)