コミュニティの熱量を上げ人を惹きつける「偏愛のシェア」の広がり
最近、”偏愛”を軸にコミュニティ形成される場やニュースを良く目にするようになりました。今回は個人的にも注目している”偏愛”と”コミュニティ”の関係について考えたいと思います。
個人的にはホットワードになっている”偏愛"ですが、界隈でもよく使われるようになったのはここ数年だと記憶しています。
コミュニティの源泉”偏愛”
私はコミュニティの源泉は人が持つ”偏愛”であると考えています。
”偏愛”の意味をインターネットで調べてみると下記のように書かれています。
コミュニティは「ビジョンを行動基準にし、メンバーと対等な関係で、仲間のために能動的に動く」ことでつくられていくものだと考えています。ビジョン、すなわち旗印をたて、その旗印に共感した人々がコミュニティのメンバーになり活動していくのがコミュニティ活動です。その旗印こそがそのコミュニティの核となる”偏愛”なのです。没頭している趣味や成し遂げたいことへの強い想い、偏愛はコミュニティの旗印になり、活動の源となるのです。
“偏愛のシェア”がコミュニティを強くする
今、偏愛をシェアする動きが多くみられるようになっています。こちらの記事ではスニーカーショップを経営するテクストトレーディングカンパニーの代表 本明秀文さんは自分の好きなバッシュを集め展示するイベントを定期開催しているといいます。
そして本明さんはこのようにも言っています。
偏愛の紹介、すなわち偏愛のシェアをすることで、自身のコレクションを通じてコミュニティのメンバーに「違った価値観や生き方を紹介」し、スニーカーコミュニティを醸成しているのです。
偏愛コミュニティが創出する新たなカルチャー
渋谷ヒカリエ8階に個人に「棚」を貸し出し、一棚一棚の異なる「棚主」で共同運営するシェア型書店「渋谷○○書店」が2021年10月にオープンしました。
私自身も「渋谷コミュニティ書店」の棚主として参加しているのですが、この渋谷○○書店がまさに「偏愛のシェア」を凝縮したようなお店なのです。それぞれの棚主は自分の偏愛を書店名とし、自分のコレクションを棚に並べています。数十の棚にそれぞれの棚主の偏愛が詰まった書店は今までの本屋とは全く異なります。
棚主は店員としてお店に立てるようにもなっており、来店してくださるお客さんや本の補充に来る他の棚主さんとの交流も生まれています。店主として、自分の偏愛が詰まった推し本に誰かが興味を持ってくださり、偏愛のバトンが渡っていくのはこの上ない喜びでもあります。
自分の偏愛をお客さんに語り、共感した人が本を手に取る。偏愛のシェアを通じてコミュニティが醸成されていくのです。
コミュニティBarという偏愛のシェアの形
最近、カフェやBarの場でコミュニティ活動が行われるケースも目にするようになっています。これまではカフェやBarに行っても自分と一緒に行く人とのコミュニケーションが中心でした。私の中ではコミュニティBarはその場に集まった人との出会いの場、セレンディピティが生まれる場であると考えています。
こちらの「アートバー」ではお酒を楽しみながら絵の描き方が学べるといいます。未経験者でも楽しめるようになっており、アートや絵画に興味を持った人が集まり、ライトな形で「偏愛」に触れられる場となっているのです。
また、私個人も不定期にコミュニティBarを開催しているのですが、そこでは主催のメンバーたちがその場に来て欲しい人たちに声がけをし、参加してもらっています。そうすることで”人と人の出会いの場を生み出したい”と考えている主催メンバーたちが自分のつながりをシェアすることで新たなコミュニティを形成しているのです。
これからのコミュニティのあり方
コミュニティは(何かへの)偏愛という旗印のもと、関わる人が能動的に活動をし醸成されていきます。その部分はこれからも変わらないと考えていますが、根底の考え方として、偏愛という旗印を掲げるだけではなく、偏愛をシェアする、偏愛のお裾分けをするという意識が大切になっていくと考えています。そしてその偏愛のシェアがコミュニティに熱量を生み、新しい人を呼び込む源泉となっていくのです。
これからも広がっていく様々な偏愛のシェアに注目していきたいと思います。