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箱は世界を見るツール コンテナとコンテンツ 弁当〜ミイラ〜きゅうり〜人〜世界

『箱男』という小説があります。箱にとりつかれた人の話。箱の中から世界を眺める。そんな話を思い出すきっかけになったのは、TEDxkioichoを通して語られていた箱というキーワード。以前から、コンテナとコンテンツの関係について、さまざまに書いたり事業を構築してきたりした自分としても、とても面白い内容でした。


移動するコンフォートゾーン

私たちの日常生活は、「箱」という単純な概念に深く根差しています。箱は、単なる収納容器ではなく、文化、歴史、さらには私たち自身を形作る重要な役割を担ってきました。箱は文明の発展と共に進化し、さまざまな文化的、経済的背景を反映してきました。

日常的によく使うお弁当箱は、食卓をモバイル化する機能であり、食卓=自宅というコンフォートゾーンを任意の場所に持ち運ぶことを実現してくれます。弁当箱の進化もめざましく、木製から現代的なデザイン、さらにはハイテクを組み込んだものへと、技術的進歩と文化的価値の変化を映し出しています。

コンテナ革命

箱というものを大きく捉えれば、コンテナも同じです。コンテナの登場は物流を革命し、グローバル貿易の拡大に寄与しました。箱がどのように世界経済に影響を与えたかを考えると、その重要性は計り知れません。

埋葬の箱

古代エジプトにおける埋葬習慣からも、箱の象徴的意味を垣間見ることができました。ミイラと共に、パンや肉が箱に入れられて埋葬されていたとのこと。まるで、死後の世界へのお弁当です。

さらに、エジプトで、水分補給に水筒から水を飲むのではなく、生のきゅうりを食べたという話がありました。きゅうり自体が、水分を溜め込んだ箱のような存在だと思いました。自然の容器が、生物学的「箱」としての機能を果たしているということ。

自然界の箱としての人間

その意味では、私たち自身も「箱」とみなすことができます。

人間の体は物理的栄養素を取り入れる「箱」であり、同時に経験や知識を内包する精神的「箱」でもあります。このように私たちの存在そのものが、多様な内容を持つ複雑な「箱」であると考えると、その可能性は無限に広がります。

私たちの肉体は食べたものでできており、私たちの思考は経験によって紡がれていきます。コンテナに何を入れるのか。コンテナに適したコンテンツとはどのようなものか。また、その逆もしかり。

未来の箱

箱の未来に目を向ければ、その進化はさらに加速するでしょう。テクノロジーの進歩は、スマートコンテナやデジタル化された箱の概念を生み出し、サステナビリティの観点からは再利用可能な箱の設計が重要視されています。デジタルデータの改変不可能なパッケージ化や代替不可能な証明なども、ある種の箱的概念なのかもしれません。

自然界の生物も箱と考えれば、ゲノムデザインなども箱の進化と捉えられるのかもしれません。

箱を通して見る世界

箱は私たちの生活を豊かにし、新たなチャレンジを提供する実用価値の可能性を秘めています。

さらに、「箱」という概念は、単に物を収納するためのものにとどまることなく、私たちの世界をどのような形で捉え直すのか、というツールなのかもしれません。

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