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見るべきものを見ず、言うべきことを言わず、やるべきことをせず

こういうの、本当に意味ないからやめたほうがいい。

桑名市は若者に高い人気のマッチングアプリ「ペアーズ」の使い方といったセミナーを、運営会社のエウレカ(東京・港)と開く方向だ。市内の企業にも案内して参加者を募る。伊藤徳宇市長は「これからは若者の声を反映した人口減対策を進める」としている。

セミナー1回やるくらいならまだいいが、婚姻増を目的としたマッチングアプリ業者と組んでそこに公金を使うなんてことはむしろ害悪でしかない。マッチングアプリで婚姻数が底上げされることは絶対にないからである。

なぜそう言い切れるかはこちらに理由を書いた。

そもそもマッチングアプリで婚姻数が増えるなら、なぜネット婚が増えているのに全体の婚姻数は激減し続けているのか、という話でしかない。

結局のところ、マッチングアプリは3割の恋愛強者にとっての便利なツールであり、「街のナンパのデジタル版」でしかないわけで、7割の恋愛弱者には何の恩恵もないどころか、単に金と時間を浪費させ、自尊心を傷つけるだけのツールでしかない。悪いことは言わない。やめた方がいい、あんなの。

自治体も「何かやってます感」だけのために、アプリ業者と組むという安易に手法にいくのではなく、もっと真剣に考えなきゃダメでしょ。変な社団法人やNPOと組んで公金チューチューを野放しにするのももってのほか

とはいえ、地方にとっては婚姻減もそれに伴う少子化も人口減少も、何より若者が転出してしまうことでの高齢化が大問題であることはわかる。  

こんな取り組みをしている自治体もあるらしい。

日本の未婚人口は男女差が大きく、430万人もの男余りで、特に町村レベルでは圧倒的に女性が少ないという現象が起きていることは確か。こうした取り組みでもしなければ、町村によっては「文字通り出会いがない」わけで、それはそれで評価できると思います。

しかし、では、逆になぜ20代の女性(20代の男もだけど)が生まれ故郷を捨てて都会へ出て行ってしまうのかという本質的な問題に向き合わなければ、結局そこで結婚した夫婦もまた子育て時期に別のところに移住してしまうことにもなりかねない。

日本の人口移動のほとんどは20代で、20代が移住する動機のほぼ9割以上が「仕事のあるところに移動する」のです。どれだけ移住を促進する方策を繰り返しても、そこに魅力的な仕事がなければ人はいなくなります

かといって、地方で魅力的な仕事が生み出せるかといえば、それも難しいでしょう。地方創生なんて絶対無理と私が言い続けているのはそういうことです。

また、人口移動のほとんどは圧倒的に20代で就職きっかけによるものだが、数的にはずっと少ないけど、もうひとつのきっかけは子育て期です。これも結局、子どもの将来を考えたら「自然の中でのびのびと…」なんてのは所詮親のエゴでしかなくて、子の経済的自立を考えれば、都会の方がいいに決まっている。そもそも学校が閉鎖されるような人口の少ないところが、子どもの人間環境育成にいいはずがない。

終わらせるべき町は終わりにして、地方は地方なりの集積化を図り、インフラも集中化して効率化を図らないと結局いろんなところが立ち行かなくなって共倒れになる。

どうあがいても、人口は2100年には半分の6000万人になる。それを前提として逆算すれば、つぶれそうな地方を今延命したところで何も意味がないことはバカでもわかる話。政治家も官僚もみんなわかっている。しかし、これを少なくとも政治家は絶対に口にできないというわけのわからない空気によって、本来やるべき政治や行政になっていないのが大問題。

ちなみに、2024年に到達するとみられた年間死亡者150万人は、2022年にすでに到達する見込み。推計より2年はやく多死時代が始まった。コロナとか関係ないからね。当たり前の人間の寿命の話。年間150万人以上(9割が75歳以上)死ぬ時代がこれから50年間継続する。人口が減るのは当然。

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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。