オンラインカンファレンスの少し先の未来を妄想してみる
7月まで意外なほど涼しいなと思っていましたが、8月になって一気に暑くなりましたね。毎年「こんなに昔は暑かったかな」と思いますが今年もやっぱり暑い。朝の天気予報のコーナーで日本地図が真っ赤になっていたりすると日本の、ひいては地球温暖化がとても気になります。
そして新型コロナウイルスの感染拡大もあまり状況はよくなってはおらず、色々な対策が講じられてはいるものの、明日すぐに事態がよくなるものでもなく想定以上に長期間での闘いを強いられることになりそうです。
カンファレンスはオンライン化を模索中
7月頃には、秋以降の大型カンファレンスはリアル開催が予定されていましたが、CESもオンライン開催が決定したと発表がありました。
過去の参加者にアンケートが実施され、参加の可能性だけではなくいつ頃参加の判断をするのか、その時の判断基準や、空港でPCR検査が必要かどうかなど詳細について聞かれましたが、その結果を受けての判断なのでしょう。実際にまだ海外への渡航がどうなるかは不透明ですし、来年の1月の時点で事態がどうなっているかもわかりません。インターナショナルな大型イベントやカンファレンスの主催者にはまだまだ難しい局面が続きそうです。
ではオンラインに移行すればいいのか、というとそう簡単な話でもありません。今までの体験価値をオンラインでも実現するのはなかなか難しく、私たちも試行錯誤しています。それでも、様々な人が様々な挑戦をしています。Web Summit の北米版のCOLLISIONも先日完全オンラインで実施し、CESもそうですがCEATECも今年はオンラインでの開催を決定し、準備を進めているそうです。
元々、新型コロナウイルスの感染拡大とは関係なく”カンファレンスの在り方の未来”については色々な議論が少しずつ始まっていました。多くの参加者が世界中から集まって、全員が一つの大きな会場に集まるスタイルは昔からほとんど変わっていません。
カンファレンスのツールや演出はすごく進化しているのに、スタイルはあまり変化がない。でも今回の新型コロナウイルスの拡大で、渡航制限という今までにない制約が加わり根本的に考えていく必要が急にできました。少し先の未来のカンファレンスについて考えてみたいと思います。
少し先の未来のカンファレンスについて考えてみる
COLLISIONはオンラインツールもとても作り込まれていて、参加者は会場を行き来する代わりにチャンネルを行き来してカンファレンスを楽しむことができました。参加している人が絵文字でリアクションできたりコメントを書き込むことができるのも面白かったです。(スクリーンショットを撮りたかった!)
ただ問題だと感じたのが”時差”です。COLLISIONは北米の開催のため、日本時間の23:00から開始となります。そうなると頑張って見れるのは2:00頃まで。はじめの方のセッションしか観ることができません。では追っかけ再生で見ればいい、となりますが様々な参加者と”一緒に観ている”ライブ感も大事な要素のため、やはりリアルタイムで参加することができると尚良し、です。
at Will Work のカンファレンスでもオンラインにしたことで様々な地域からの参加が可能になりましたが、同時にコメントがあったのが実施の時間帯によっては参加が難しい、ということでした。時差は分かりやすい要素ですが、国内でも時間にとらわれずに好きな時間に参加でき、かつライブ感をちゃんと感じられることができれば、参加の仕方に選択肢が生まれます。
ちなみにそのライブ感をどう出すのか。一つのアイディアが新しいデバイス、または個室です。個人が家で参加する場合は、VRのデバイスが少し先の未来にはさらに進化しているはずなので、そのデバイスを活用する形になると思います。個室と書いたのは、家ではない場所での参加も今後はあり得るのではと考えているからです。会場までは行かなくても、家の近くに(もしかしたらコワーキングスペースの一部かもしれません)リモート会場があり、そこからの参加という選択肢が増えるのではというのが一つのアイディアです。
現状のオンラインカンファレンス/イベントで実現できていないことの一つが”非日常感の演出”です。会場に向かう道のり、会場に足を踏み入れた時のワクワク感、そして音楽や光、騒めき。ワークスペースやリビングにいて参加しているだけでは得られない雰囲気を、デバイスを活用することで体感するということが当たり前になるのではないでしょうか。いわゆる没入感はとても大事な要素になってくると思います。そして何よりデバイス自体はさらに小型化もしていくはず。映画でもそんなデバイスが登場することもありますね。
その没入感と共に、時差を感じない仕組みが必要になってきます。時差問題については正直まだいいアイディアがないのですが、参加した人々の行動のデータが蓄積されていって、単に追っかけ再生をしているだけではなくあたかも同時進行で一緒に参加しているように感じられるような、再生の仕方が可能になってくるのではと思っています。誰かその仕組み、実現してくれないかな・・。
ここ数年はオンライン・オフラインのハイブリッド型が主流になると考えていますが、もう少し先になるとリアルの開催というのはとても貴重なものになってくると思っています。それは、気候変動やエネルギー問題を考えた時に特に飛行機での移動自体が問題視されていく可能性があるからです。20年くらい先だとまだまだかもしれませんが、その先の未来には移動はとても貴重なものになってくるのではと思います。そうなると、世界中から人を集めて一つの会場で実施する、ということ自体叶わなくなるのは十分にあり得るシナリオです。
でも、オンラインになることで可能になることもたくさんあります。それは移動を考えなくていい世界中のカンファレンス/イベントへの参加だったり、自動翻訳などももっとスムーズになることで言語を気にしないで参加することも可能になるでしょう。
まだしばらくは実施方法について模索が続くのと、今までのビジネスをどうオンラインで回復させていくかの挑戦が続くと思います。目の前の課題解決に取り組みつつ、もう少し先の未来についても色々な方ともっと議論してみたいですね。