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LGBTQ+の炎上を受けて…変革期に求められる「真摯な対応」とは

こんにちは!下着ブランドのプロデューサーをしているこじみくです。
今回は「LGBTQ」をテーマに、企業としてどういった取り組みが求められるのかお話したいと思います。

LGBTQ+がきっかけで炎上する企業が後を絶たない

先日、下着会社が発表した「接客方針」の中で「性別にかかわらず、お客さまのご要望をお聞きしながら、商品選びのご相談に対応することを基本方針とする」という内容が主にSNSを通じて議論を呼びました。具体的にはトランスジェンダー女性にとっては、下着の試着が難しい背景があることから性別に関わらずに使用できる試着室がある場合はそちらを案内するという内容の接客方針です。
一見すると、LGBTQ+への配慮がなされたダイバーシティ時代の新しい接客の形のように思えますが、女性側の視点では「女性の安全が守られないのでは?」という不安を拭いきることができなかったようです。

他にも総合施設の「ジェンダーレストイレ」という取り組みも女性の安全性という視点で炎上を招き、わずか数か月で廃止という結末を迎えました。

「偽トランス」への権利も広げてしまうリスク

私は過去に自分の下着ブランドを立ち上げ、会社の代表としてブランドを運営していた経験があります。その際にLGBTQ、特にトランスジェンダーの方と交流をする機会があり、下着選びの悩みや肩身の狭さに悩んでいるといった声を聞きました。「豊胸手術を受けたけど骨格はどうしても男性っぽいから、下着屋に入るのが申し訳ない」「でもブラジャーを着けないわけにもいけないし、失敗してもいいようにネットで安いのを沢山買っている」といったものでした。

目の前で悩んでいる人の姿に私も胸が痛くなりましたり、それは深刻な課題でもあり、できる限り社会全体でサポートできる形が望ましいと思っています。
ただ一方で、本当は「トランスジェンダーの当事者ではない」にも関わらず、個人の快楽や趣味の範囲として女装や女性向けサービスを好んで使おうとする男性が残念ながら一定数存在するのが事実です。私はトランスジェンダーと完全に切り分けるために「偽トランス」と呼ぶことにしています。
LGBTQ+の取り組みによってはこういった偽トランスを排除することが難しくなるため、それによって女性の安全性が守られない、快適に買い物やサービスを受けられないといったリスクも隣り合わせになります。

下着ブランドでいえば、試着の際に商品に嫌がらせをしたり、試着室に盗撮用のカメラを設置したり…そういった被害が危険視されている現状を踏まえるとやみくもにトランスジェンダーへの権利を広げる難しさがあると思っています。

企業として求められる対応

では、企業としてどんな対応が求められるのか…
まずこちらの記事では米国での事例を踏まえて「針に糸を通すような繊細さが求められている」という言葉がとても印象的でした。

変革期であるからこそ決まった正解はなく、企業は手探りをしながら一つ一つ丁寧な対応が求められるフェーズだと思っています。
LGBTQ+への取り組みとして、今後企業が大切にすべきポイントを私はこのように考えています。

・中途半端な取り組みは企業、顧客、そしてLGBTQ+当事者へ
 の大きなダメージに繋がる
・企業側が「何を一番大事にするのか」のスタンスを明確にする
・取り組みによって偽トランスによるリスクや、
 力の弱い女性が被害に繋がらないか
・オンラインサービスなどの工夫で解決することはできないか検討
・二歩、三歩先の影響やリスクも検討できる体制を整備
・最初はできる限り試験的にスタートさせる

中途半端な取り組みは「LGBTQへの分断・差別を深める」

企業の取り組みとして一番もったいないことが炎上や議論を呼ぶことでさらにLGBTQ+当事者への分断や差別を深めることだと思っています。特に配慮がなされていない中途半端な取り組みはLGBTQ+への批判や誹謗中傷にもつながり、結果的にダイバーシティーを目指す世の中の流れとは全く逆の結果にもなりかねません。
私自身もLGBTQ+への取り組みにこういった慎重的な意見を述べることで、当事者にとって差別的な印象を持たれるのでは…と不安に思うことがありますが、誤った取り組みによって本来直接関係ないはずの当事者が非難されたり、世の中にマイナスなイメージをもたらすことの方が大きな問題であると考え、SNSでも積極的に声を上げることにしています。
ダイバーシティの浸透はとても大事で私も賛成していますが、それによって被害が増えることには慎重な意見を持っています。

こちらの記事ではダイバーシティ勉強会の参加企業が20年で6倍になった事例が紹介されています。

こういった取り組みは非常に大事で、慣習や一般的な先入観に囚われがちな企業や組織こそ正しく勉強をして理解することが大切であると思っています。

変革期であるからこそ、社会全体が「学び」を深めるという姿勢で丁寧な対応をすることが「多様性を認め、生きやすい社会」に繋がるのかもしれません。

小島 未紅
1991年東京都出身。株式会社iiy執行役員。新卒で大手IT企業に入社。エンジニアとして働き3年目に下着ブランドの立ち上げを決意し、2016年に起業。運営ブランドBELLE MACARONは女性視点の心地よさとデザイン性をもつ「24hブラ」がSNSで共感を集め、最高日商2000万円を記録。ブランド体制などをきっかけに2024年にブランドクローズを迎え、現在は下着ブランド「CHARM MAKE BODY」のブランドディレクターに就任。

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