「私たちは日本代表でありながら、胸に国旗をつけることができませんでした。 」 →WEリーグ開幕&トロフィー完成まで ~ 一言切り抜きfrom日経#245
2021年9月12日に開幕し、今週2022年3月5日にシーズンが再開する、女子サッカーのプロリーグ「WEリーグ」。
その初代チェア岡島喜久子さんは、最初の女子サッカー日本代表で、その後、メリルリンチ他、海外の金融業界の第一線で活躍されたという方。
興味深いキャリアの持ち主だが、彼女の記事もとてもとても興味深い。
そこから一言だけ、切り抜いたのが、今回のタイトル。
ワールドカップも制した日本女子サッカー代表の初代と言ったら、それは華々しいかと思いきや、とてつもない苦労をされていたわけだ。
その他のエピソードとして、当時の女子代表チームは、河川敷のグラウンドを自分たちでみんなで抽選を申し込んで予約し、電車で行って練習をしていたらしい。
河川敷に行ったは行ったで更衣室もないから、バスタオルをみんなで掲げて壁にして、その中で交代で着替えていた、なんて話もあるらしい。
けど、好きだから、楽しかったから、別に苦労とも思わなかったと、いうことだ。
先人たちのこんな努力のその先に、なでしこの世界一があり、そして、プロリーグである「WEリーグ」が開幕したわけで、何事も始まりは舗装された道ではなく、道なき道で、小さく、個人的で、ささやかに始まっているのは共通なんだなと思う。
さて、そのWEリーグは、Women Empowerment Leagueの略で、サッカーをきっかけに、ジェンダーギャップ指数がめちゃくちゃ低い日本の課題を解決していく、女性をエンパワーしていく、という思いが込められた名前になっている。
WEリーグHPの岡島さんのコメントを引用すると
日経新聞にはまだ載っていないが、そんなWomen Empowermentの、WEリーグについて、先週リリースされたニュースが1つある。
リーグが開幕したら必要なものがたくさんあると思うが、その1つが、優勝チームが掲げるトロフィーだ。
そのトロフィーが、制作期間半年以上かけて完成したというニュース。
まずカタチにするためのストーリーが素晴らしい。
全ては日本在住20年以上のクリエーティブディレクター、
キリーロバ・ナージャ氏のリサーチからスタートしている。
「なぜ優勝した時に贈られるのは、カップ型のトロフィーだったり、盾だったりするのか?」
ご存知だろうか?
答えは戦争で勝った時に、持ち帰った戦利品。
それが原型だから、トロフィー といえば、あの形らしい。
(子供の頃から当然のように見てるのに、知らなかった。。)
つまり、極めて男性的なものだ。
女子サッカーリーグなんだから。
そういうものではなく。
トロフィーも女性的なことを反映したものであるべき。
そこから議論は始まっている。
さらには現代の世界中の様々なスポーツの試合や各業界の賞のトロフィーもリサーチしまくった上で日本の女子プロサッカーリーグのトロフィー には、何がふさわしいか?というディスカッションの末、チームが行き着いたアイデアがこれだ。
8月。幕張のJFA夢フィールドに、岡島チェアと、各年代のなでしこJAPANが集合。
何をするためにかというと、、
ゴール前に設置された、ガラスの壁を、ボールを蹴って破壊!するため。
「ガラスの天井」という言葉をご存知でしょうか?
英語で言うとGlass Ceiling.
女性の出世を阻む障壁の比喩として、こう呼ばれているが、この日、女性にとっての見えない壁として象徴される素材、ガラスでできた壁を、ボールを蹴って、ぶっ壊したわけだ。
9月。
このガラスの破片は、九十九里の菅原工芸硝子に届けられる。
再生ガラスの技術を持つここに持ち込まれた訳は?
そう。
壊したガラスの壁で、トロフィーを作ろう、というのが今回の企画だったのだ。
菅原工芸硝子の桑升桃子さんをはじめとする女性職人たちの手によって、数々の試作が行われ、
ついに完成したのがこのトロフィー。
その名も「Women Empowerment Trophy」。
先日公開されたメイキングムービーが
こちら。
ちなみに、このトロフィー、クリエーティブディレクターもアートディレクターも女性ならば、動画の撮影スタッフも、プロデューサーから監督からカメラまで、みんな女性という布陣。
なんで、そんなに詳しいかというと、、実現を少し、お手伝いさせてもらったからで、、
そばでこんなにも奇跡的なものを見れて、本当幸せだなと思ったし、
トロフィー といえばこんな感じのもの、というようなステレオタイプもぶっ壊せるし、
これを見てエネルギーを感じてくれる女性も多いので、
知って欲しくて詳しく今回書きました。
ちなみに、そんなに男女を分け過ぎる必要もないだろう、
ということで補足すると、
僕はすべての仕事で
「この仕事は世界中や日本中から探しても、この人が担当すべきという適任者が必ずいて、その人が仕事すべき」
と思っていて人選をしていて、
今回は女性リーグのプロジェクトだから、
まずは男性よりも女性が活躍するのがまず筋だと思っているから、
なるべく女性陣が前に出て、男性陣は後ろに一歩下がって手伝うべきと、
僕はお手伝いさんとして「企画とかディレクターじゃなくて、あくまで実現を手伝う」役割になった次第。
例えば他にもこのプロジェクトの男性陣にはカリスマバイヤーと呼ばれる山田遊氏もいるが、同様にお手伝いとして裏でサポートしてもらっていて、今回のガラス製作の適任は菅原工芸硝子だ、と、判断した彼が、菅原社長に持ちかけて、協力をすぐに取り付けてくれたり、そしてトロフィーの台座は鉄が良いなとチームが判断したら即座に、燕三条の加工のできる工場にコンタクトを取り、最短スケジュールで納品してもらったり。
つまり、サッカーで言うと、
リーグやクリエーティブチームの女性がフォワードで、
男性陣が今回は守りに徹したと言うフォーメーション。
そして、みんなのそれぞれのポジションに、パスが回って
ゴールして完成したのがこのトロフィー。
完成後、FIFAのスタッフもこの映像を見て感動したという。
こんなにリーグのメッセージのこもったトロフィーのことを
世界中のたくさんの人に知って欲しいのはもちろんだけど、
立ち上がったばかりで選手もリーグも関わる人も
みんなでベンチャー的に汗をかいて走り回っているWEリーグのことも
もっと注目を集めてほしい。
そして、ひいてはリーグきっかけで、Women Empowerment、男女均等にオープンに活躍できる世の中になっていってほしいと思う。
様々な壁を壊して、再構築して。
このトロフィーみたいに。