川崎、京都、神戸、福岡の4都市が4年で死滅する未来がすぐそこに
あけましておめでとうこざいます! 2020年初投稿です。本年もよろしくお願いします。
正月、田舎に帰省したのですが、話題が葬式の段取りの話(誰を呼ぶの呼ばないの)とか墓の話とか坊さんをどうするかとか、そういえば誰々が昨年亡くなったとかいう話ばっかりで、迫りくる高齢化多死社会の足音がでかくなっていることを痛感しました。
「お正月に葬式の話なんて縁起でもない」と思いますか?実は、もうそんなことは言ってられないかもしれないのです。
12月に発表されたばかりの総務省人口推計では、2019年の死亡者数見込みは137万6千人。第二波のスペイン風邪(インフルエンザ)による死者増で年間142万人死亡した1920年以来の高い数値です(ちなみに、スペイン風邪第一波は1918年で死亡者数149万人。正確な統計のない太平洋戦争中を除けば、明治以来この年が過去最高の死亡者数の記録)。
2019年は、芸能人・有名人の方もたくさんお亡くなりになりました。
映画やバラエティで活躍した俳優の梅宮辰夫さん(享年81)、アニメ「ルパン三世」の石川五ェ門役で知られる声優の井上真樹夫さん(享年81)、テレビドラマ「サインはV」のコーチ役などで活躍した俳優の中山仁さん(享年77)、芸能リポーターの福岡翼さん(享年78)、プロ野球で唯一の400勝を達成するなど史上最高の左腕投手と呼ばれた金田正一さん(享年86)、「塀の中の懲りない面々」などで知られる作家の安部譲二さん(享年82)、「だいたいやね」の辛口コメントで知られる評論家の竹村健一さん(享年89)、映画やテレビの司会で幅広く活躍したタレントの高島忠夫さん(享年88)、ドラマ「太陽にほえろ!」「傷だらけの天使」など数々の作品で知られる俳優の萩原健一さん(享年68)、テレビドラマ「家政婦は見た!」シリーズなどで知られる女優の市原悦子さん(享年82)、「岸辺のアルバム」をはじめとする名作ドラマに出演した女優の八千草薫さん(享年88)、樹木希林さんの後を追うように内田裕也さん(享年79)が亡くなったのも2019年でした。
上記はテレビなどに出られた方メインで紹介しましたが、個人的にはツイッターをフォローさせていただいていた小池一夫さん(享年82)の死がとても残念でした。
しかし、これから日本は本格的な多死社会に突入します。
間もなく、2024年には年間死亡者数150万人を超えます(社人研・中位推計による)。多分、太平洋戦争時の死亡者数に匹敵するでしょう。そして、その150万人以上死ぬ時代がそれから50年以上も継続します。
150万人というのがどれくらいの規模かというと、川崎市、京都市、神戸市、福岡市の人口と同等です。いうなれば、4年間でこの4都市全部の人口が死亡するに等しいわけです。それが50年間続きます。
2020年から2071年の約50年間で延べ8100万人がお亡くなりになります。この8100万人の死亡者の9割は75歳以上の高齢者となります。
2100年に日本の人口は今の半分の約6000万人になると推計されています。その要因の大部分は、この「多死」によってもたらされます。逆に言うと、戦後日本の人口増加は、ベビーブームなどの出生数増加もありますが、それ以上に「死なない(少死)時代」だったからなのです。
人口メカニズムでは、戦後「多産少死」時代を経て、1980年代以降「少産少死」時代、いわゆる少子化の時代から、これからまさに「少産多死」時代へ移行するのです。
ちなみに、世界も今、アフリカ等一部を除くほとんどの国は「少産少死」時代です。日本が先駆けて多死社会になり、他国も10年後くらいに追随します。高齢化社会になれば、自然とその後に訪れるのは多死社会ですから。
生まれる人数より死ぬ人数が多いという状態は、多分人類にとって未曾有の事態でしょう。世界が日本の多死社会への対応に注目しているのはそういう意味があります。
現状でも、火葬場が取れないという事態が起きています。そのために遺体を冷凍保存する遺体ホテルなる業態も生まれています。
人は必ず死にます。どんな金持ちもどんな充実した人生を送っていようとも、全員が必ず死にます。
現在、医療の発達で乳幼児の死亡率は極端に低くなっています。死亡者の9割が75歳以上となるわけですから、ほぼ高齢者だけが死ぬ世界となります。加えて、世帯の4割が単身世帯になります。結婚しても最終的には「ひとりで死ぬ」人が増えます。特に、旦那と死別した妻。
「どう死を迎えるか」という視点をひとりひとり持つことが大事な時代になっていきます。ソロ社会化により、今までのように子などの家族や親族に託すということもできなくなるでしょう。
そうすると、生前自分で自分の人生の始末をつける必要が出てきます。財産や住居の始末も当然必要になります。つまり、自分が生きている間に自分の死後の対応を自らしないといけなくなる時代になるということです。
「死んだ後の事なんて知ったことではない」と言えなくなるし、死後の処理すら自己責任と言われてしまうかもしれないのです。
現在孤独死の数は年間で3万人もいません。年間150万人死亡とは、1日当たり4100人ずつ死んでいく計算です。これらのすべてが孤独死となるわけではありませんが、とても死後の始末を行政対応できる範囲を超えています。
冗談ではなく、本当に「生きている間に自分の死後の始末をつけないといけないという法律」すらできるかもしれません。
今後はそうした人達のための「安心して死んでいけるコンシェルジュ」的なビジネスのニーズも高まると思います。少し不謹慎かもしれませんが、言い様によっては、それは「死神ビジネス」と言えます。
でもね、自分の死の意味や死後のことを見つめることで、逆説的ですが、「自分の生きる意味」を考えられるということもあると思うんです。それに加え、生きているうちに、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんの死を想うことで「生きているうちに何かしてあげなきゃ」と思い、行動する気になるかもしれません。
多死社会、いよいよあと数年で到来します。