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スマホの次はどこから出るか?

2050年にはスマホがなくなるかもしれない

みずほ銀行の『みずほ産業調査』で、2050年にはスマホとパソコンの普及率は0%になるだろうという未来予測が出された。今や、公私問わずにスマホとパソコンはなくてはならないツールになっている。報告書では、次に来るツールとして、「スマートグラス」と「スマートコンタクト」、「ハプティクス」が来るという。体感としては、これだけ普及したツールがなくなるというのは現実味がなさそうにも感じられる。しかし、技術革新と新製品普及の歴史を顧みると2050年よりも早くになくなってもおかしくない。

パソコン30年、スマホ15年

パソコンが世の中に普及するきっかけになったのは、Windows95の登場だ。それ以前からパソコンはあったものの、一部の専門家と好事家が使う上級者向けの製品だった。それが、1995年、GUIによる操作をベースとした革新的なOSの登場で一気に一般層まで普及することになった。加えて、1993年に欧州原子核研究機構がWorld Wide Web を無料で誰にでも開放することを発表したことも追い風となった。パソコンとインターネットの普及が全世界で同時に始まり、IT革命と呼ばれた。それから30年、デスクトップからノートパソコンに主流が移るなどのマイナーチェンジはあるものの、パソコンは情報通信端末の主要なデバイスとして使われてきた。
また、スマートフォンは2007年に初代iphoneが発表され、2008年から日本をはじめとした世界展開が始まった。瞬く間にそれまであった携帯電話はスマートフォンに置き換えられ、今や全世界のどこでもスマートフォンが使われている。
パソコンもスマートフォンも、比較的最近出てきたツールのようにも思われる。しかし、ミレニアル世代にとってはパソコン、Z世代にとってはスマートフォンが物心ついた時から世の中に普及しているツールだ。
加えて、戦後の情報通信端末の技術の変遷を考えると、パソコンとスマートフォンは寿命の長いデバイスと言える。1950年に一般用電話機(いわゆる「黒電話」)が登場し、1970年にはダイヤル式からボタン式の「プッシュホン」が普及した。プッシュホンで出た当時は電話の多機能化が進み、キャッチホン、テレビ会議サービス、電話ファックス、国際ダイヤルと様々なサービスが提供された。1980年代にはコードレス電話が出てくる。これで固定電話としては、ほぼ機能としては出そろっている。あとは、2000年代にIP電話が出てくるが、ユーザー目線で大きな変化と言えるのは1980年代までで一通り終わったと言えるだろう。
1987年に携帯電話がサービス開始し、1995年にはPHSが出てきた。また、携帯電話の前には1968年にポケベルのサービスが始まり、1980年代後半から90年代前半で若い女性の間でブームとなった。1999年に、世界初のカメラ付き携帯電話が京セラから発売され、携帯端末にデジタルカメラが搭載されるスタンダードができる。2001年に3G(W-CDMA)の商用サービスが開始されたことで携帯電話はモバイルインターネットとしての機能が追加され、2002年の「着うた」からエンターテインメントのデバイスとしても使われるようになった。2004年には「おサイフケータイ」(Felica対応機能)も開始され、日本の携帯電話は世界で類を見ない多機能高性能化をみせて、「ガラパゴス携帯」とも呼ばれるようになった。
そのような時代の中、2007年に登場したのがスマートフォンだ。
こうしてみると、「黒電話(1950年代)」⇒「プッシュホン(1970年)」⇒「コードレス多機能電話(1980年代)」⇒「携帯電話(1990年代)」⇒「スマートフォン(2000年代)」と、10~20年という短いスパンで情報通信端末は劇的な変化を迎えていることになる。時間の流れだけをみれば、2030年にスマートフォンに代わる新しいデバイスが登場し、市場を塗り替えても何らおかしくはない。
今は最有力としてみられているのがスマートグラスだが、破壊的なイノベーションを起こすデバイスが現在のスマートグラスと同じ見た目をしているとも限らない。誰がゲームチェンジャーとなるのか、絶え間ない技術革新と挑戦的な起業家精神で成功を掴んだ企業が次の黄金の林檎を掴むことができる。


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