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デジタル庁は、最後の人が出来るまで面倒を見るのか、最後の人が出来るのをみんなで待つのか。

9月のデジタル庁発足まで、あと2か月。その担当大臣である平井氏が、「日本流」のデジタル化ということを各所で語っている。

準備中であるデジタル庁のホームページを見ると、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。」という標語が見て取れる。

高齢化が進む日本において、一般にデジタルに馴染みの薄い高齢者を巻き込む形でデジタル化を推進することは必須の課題である。

ただ一つ懸念なのは、「誰一人取り残さない」ための方策に、”みんなができるようになるまでみんな待つ”のか、あるいは”出来る人から先に行ってもらい、出来ない人が出来るようになるまで最後まで面倒を見る”のかという2つ方針が考えられ、その結果には大きな違いがあるということだ。

日本の場合、どうしても前者の”できない人ができるようになるまで全員で待つ”やり方が公平とみなされる社会的な傾向があると思う。

例えば、新型コロナウイルスワクチン接種においても、自衛隊運営の大規模会場において、優先接種対象である高齢者の予約が入らないにも関わらず、他の年齢層等への接種を進めずにいたことが一つの典型的な対応だろう。

そのうえ、高齢者が予約対象であるにも関わらず当初はネット予約のみであり、電話予約は予約の空きが顕著になってからの対応であった。デジタル庁の仕事ではないとはいえ、「誰一人取り残さない」ということと行政目的の達成(この場合は、一刻も早く一人でも多くの国民にワクチン接種を行うこと)のためにとられた手段に整合性があったのか、疑問に思う。

もちろん、公平に平等にやっていくことは、国や行政機関の進める施策として大変大切なところだ。ただ、一般に現行のデジタル化されていない行政等の手続きは公平・平等に出来るようになっているのであるから、その仕組みは当面残しつつ、出来る人にはデジタル化した手段を先に使ってもらい、デジタル化にすぐに対応できない人については、ゆっくりとその対応を進めてもらうことが、著しくデジタル化に遅れている日本にとって重要な考え方だろうと思う。先着順など公平・平等が著しく損なわれる場合については例外的な配慮を行うとしても、そのほかについては、出来る人からデジタル化に対応していかないと、「全員ができるようになるまで待つ」スタイルでは、いつまでたっても前に進まないのが懸念だ。


これに関連して、加賀市がマイナンバーカードとスマートフォンを活用した行政サービスを進めており、全国トップの交付率を達成していることは大変注目に値する。このほか、電子市民制度を取り入れて関係人口の強化をはかるなど、積極的な取り組みがみられるのは、同市が「消滅可能性都市」のひとつであることの危機感も背景にあるのだろう。

一般市民からすれば、こうした電子市民の存在は自分たちとは関係がないように思えるかもしれないが、市の関係人口を増やしそれによって長期的な経済の底上げや地域活性化を図っていく面では大変大きな効果が期待できると思われる。

これはヨーロッパのエストニアにお手本を求めたものと考えることができるだろう。エストニアに関しては居住国にかかわらず電子国家でe-residencyと呼ばれる市民権を得たり、企業を設立したりといった電子的な国民の参加が可能になっている。これによってエストニアに興味を持ち、実際に足を運びエストニアに関わるようになった友人もいる。このようにまずオンラインから関係を作るということは実際のリアルな関係に発展する糸口として非常に重要なことになると思う。この記事はすでに2年以上前のものだ。

もちろん「日本流」ということは大事かもしれないが、結果としての日本流が実現すれば良いのであり、最初から日本流にこだわるあまり、諸外国の先行事例の良いところを取り入れることに躊躇する、といったことはないようにしてほしい。

例えば、国の状況も違い、課された行政課題も違うが、私の知る限りではケニアのデジタル庁に相当する ICT オーソリティという組織は2013年に設立されている。見ていただければわかる通り、一番上には問い合わせの電話番号とメールアドレスが記載されている。これもまた「誰一人取り残さない」姿勢と言えるのではないだろうか。

平井大臣が冒頭2つめの記事でインタビューで答えているように、日本はデジタルの後進国である。こうした中で一刻も早く他国並みのデジタル化を推進していく必要があり、その時に一番最後の人を待ってデジタル化をするのではなく、一番最後の人まで面倒を見ながら、先に行ける人は先に行くという姿勢で、デジタル庁がすべての政策を進めていくことに期待したい。


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