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金融政策変更には労働市場の動向が一つの鍵

消費者物価指数を見る限り、インフレ動向は沈静化しつつある。金融政策の変更のタイミングは早まるのであろうか。おそらくは金融政策委員会(MPC)が気にしているのは、労働市場データに示された労働需給のひっ迫ではなかろうか。

労働力需要がここ数か月鈍化している状況に変わりはない。求人は引き続き減少し、雇用意図の指標や雇用者数の伸びは鈍化している。だが、2月5日に発表されたデータを見ると、労働供給は回復から若干逆戻りしているようであり、その分だけでもこれまで考えられていたより、ややひっ迫していることが伺える。11月までの3か月の失業率は3.9%とBOEの昨年第4四半期の予想より40bp、同行が4.5%と推定する短期NAIRU(インフレ非加速的失業率)より60bp低い。

BOEは1月31日の会合にて明確なメッセージを示している。MPCが政策調整を開始するには、インフレ圧力がインフレ率目標により見合った方向に向かうとのさらなる確証が必要だということである。今回の労働市場データを見る限り、今後の賃金やインフレのデータがその証拠となることが一層重要となっている。結局、BOEは6月の会合までに2%を下回る4月と5月の総合インフレ率データをMPCが手にして初めてそうした自信を持つことになると考えられる。

そうであれば、4月、5月というより、BOEは6月まで利下げを見送る可能性が大きくなるということになる。目先のインフレ動向の沈静化だけでは金融政策の変更タイミングが早まるとは思えない。


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