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バリューをボトムアップで策定したらやっぱりよかったなって話

僕のnoteでは、「組織づくりはミッション・ビジョン・バリューから」と、耳にタコができるほど言い続けていると思います(苦笑)。

ただこれって、人事や組織開発といった視点からだけではなく、事業を成長させ企業経営全体を推進していく上で欠かせないものなんですよね。

実際、以前の勢いを取り戻し、過去最高益という好業績を挙げているソニーグループも、「KANDO(感動)」という全員で共通する一つの言葉が再建の起点になったようです。

こうした共通した価値観を抱くことが、組織を一枚岩にして事業を推進させていくということが伺えます。
そして、この「感動」という言葉を中心に据えるにあたっては、当時社長の平井氏が、現場の声を聞きながら見出した言葉だったというです。

現場の声に耳を傾ける中で、平井氏が見つけたのが「感動」という言葉だった。
実は創業世代がやろうとしていたこと、表現しようとしていたことを「感動」に置き換えたつもりです。井深さんが設立趣意書で書いた「自由闊達にして愉快なる理想工場」。世の中が「すごい!」ってうなるようなモノを創り出すことが当時のソニーの目指す姿だった。
でも、私がそれを言っても伝わらない。社員の胸に響くことはない。だからソニーの姿をもう一度考えたのです。そこで決めたのが「感動を提供する会社になろう」でした。

ということで今日は、組織の共通した価値観であるバリューをボトムアップで策定することについて、その効果などを共有していきたいと思います。


ボトムアップで作ったデジタル庁のバリュー

僕が非常勤の民間人材として勤務しているデジタル庁でもミッション・ビジョン・バリューを策定し、先日発表をしました。

民間企業だけでなく、官公庁でもこうした動きが進んでいることから、ミッション・ビジョン・バリューを組織の中心に据えて経営してゆくスタイルは、これからの企業のスタンダードとなっていく感じがますね。

デジタル庁では、2021年9月1日の設立と同時に、組織の存在意義や目指す姿としてのミッション・ビジョンを先に発表しました。目指すゴールは一定のトップダウンで決定したものの、バリューについては職員全体での対話を重視してボトムアップで策定しました。

その際の策定プロセスについては、デジタル庁公式noteにて詳細にわたり記載したので、ぜひご覧ください。ボトムアップで策定することにこだわった組織的な背景についても、言及しています。

庁内外への発表を終えて2週間ほどが経ち、浸透させ成果につなげていくのはまだまだこれからです。

策定から少し経ち、「やっぱりボトムアップで作ってよかった」と個人的には感じていまして、何がよかったかを実体験ベースで改めて振り返って整理をしていきたいと思います。


1つ目は、「バリューの言語化の質」です。

誰か一人が考えて作ろうとすると、それが仮に経営トップだとしても一定の偏りが生まれます。得られる経験には限界があるので、あらゆる観点からの経験は誰も持ってないんですよね。

そうするとどうしても、納得感を得にくかったり、人によっては共感できないような内容が出てきてしまう。

特に、デジタル庁の場合は、背景の異なる多様な人材が揃っていたので、「どんな立場の人にとっても納得感のあるバリュー」を策定する上では、誰か個人の視点では足りないのです。

策定中は、ミーティング、ワークショップ、ヒアリング、アンケートフォームなどを通じ、様々な観点から声を集めてきました。
あらゆる立場の方々の意見は、ときに矛盾するものもあったりして、反映するのは時間も労力もかかります。ですが、全員の声に耳を傾けたからこそ、自分だけでは作り得ないものに到達することができたなと思います。

ボトムアップは大変だけど、それだけの価値があるなと痛感しています。


2点目は、「バリューの浸透のしやすさ」です。

「誰かから与えられたバリュー」よりも「自分も一緒に考えたバリュー」の方が浸透しやすいのは明らかです。策定プロセスにメンバーが参画することで自分ごと化しやすいんですね。

ものごとに対して、同じレベルでの理解度を求めるには、同じ思考プロセスを辿るのが一番だと思っています。自分の頭であーでもない、こうでもないと考えて、始めて「そうか、だからその結論か!うん、納得。」となるわけです。

バリューにおいては、策定フェーズが終わると浸透フェーズに入り、「どう説明したら理解してもらえるか?」と考えるのですが、既に同じ思考プロセスを辿ってる仲間とならば、説明せずとも理解が醸成されているのです。

バリューを言うときってちょっとこっぱずかしいじゃないですか?
先のソニーだって最初は「KANDO」とか言うの恥ずかしかったと思うんですよね。それをみんなで言い続けて「それって感動するかな?」という会話が浸透してるんじゃないかなぁと想像します。

デジタル庁でも、「それって目的は?」「やめる勇気を持とうよ」とかって言葉がオフィスでもう自然と聞こえてきたりしてます。
バリューの言葉を使うための活動はまだ始めていませんが、自然とこうやって使ってもらえてるのは、とても嬉しい気持ちになりますね!


3点目は、「バリューの継続性」です。

発表後に改めて強く感じたことですが、策定したバリューを闇雲に変更することなく、一貫し継続して掲げ続けることが大事だということがあります。

仮にトップダウンで誰かが決めたバリューだったとして、トップが交代した後はどうなるでしょうか?次のトップって、過去から変化させて成長させたいと考えるものなので、「バリューから見直そう」ってなるんですよね。

もちろん、バリューは可変なものなので変えてもいいのですが、あまり高頻度で変わってしまっては、働く一人ひとりは混乱します。価値観ってそんなに日々急激に変更できないですからね。

特にデジタル庁など省庁には、「トップが交代しやすい」という組織特性があります。選挙を経て議員や内閣は入れ替わる構造であるため、大臣は民間企業のトップと比べてどうしても交代の頻度は高くなる。

だとしたら、「ボトムアップ策定したメンバーみんなのもの」となっていれば、自ずと継続的に使いやすいものになっていくなと感じています。

そんなこんなで、平井大臣から牧島大臣にバトンタッチしましたが、デジタル庁ホームページの牧島大臣メッセージでも、バリューは継続して触れてくださっています(組織を担う身としては、トップのこうした姿勢は本当にありがたいですよね)。


おわりに

こんな感じで、やってみるとやっぱり、ボトムアップは良いことがたくさんだなぁ〜と思うわけです。

策定中は大変だし、トップが決めちゃってくれたら楽とか、自分で決めちゃいたいとかっていう気持ちも芽生えます。

でも、目的はバリューを策定することじゃなくて、バリューをうまく使って組織を一枚岩にして、成果を挙げてゆくことです。

だとしたら、面倒くさがらずに、地味で地道なことを繰り返し、みんなで議論しながらバリューを作りませんか?

経営者、部門長、人事、現場メンバー、どの立場の方にとっても、新たな気づきがあって、後々よかったなって振り返ることと思います!!


(たまには告知〜)
バリューを中心にした組織の作り方はこちらの本もぜひご参考ください😀



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