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米中通商協議【いったん頭の整理】

本日(3/1)を期限として行われていた米中通商協議は案の定、再延期となりました。もはやここに至るまでの経緯に関し紆余曲折がありすぎて把握できていない向きもあろうかと察します。そこで、これまでの経緯と展望をまとめてみました。

米中貿易協議は予定調和の「先送り」——まとまらない対中強硬策に焦るトランプ大統領
https://www.businessinsider.jp/post-186232

本文には掲載できなかった表がありますので、こちらも以下につけます。過去1年で米国が打ち出した主な保護主義対応となります。お時間のない方はこちらを見るだけでも何となくのファクトを抑えることができるのではないかと思います:

巷を賑わしている米中協議の最新状況ですが、今回は文字通り先送りである上、覚書を巡って中国が態度を硬化させているという報道も見られるなど、今後も波乱の種として消えることは無いでしょう。また、今回はトランプ大統領がライトハイザーに八つ当たり気味となっているとの報道もありました。「任期のある米国大統領」と「任期の無い中国国家主席」という本質的な職責の差がここにきて交渉に微妙に影響しているのではないかとの見方も見聞きします。

片や、為替安定に関し何らかの合意がなされているとの見方は多いです。今回、制裁ではなく再協議となった背景にはある程度米国にとっての「旨味」となる進展があったからだと推測しますが、それが為替部分と対米輸入拡大部分であったのではないかと言われます。人民元相場にとって喫緊の不安事項はどちらかと言えば「人民元の際限ない下落」であり、米国にとってのそれは「人民元下落による競争力向上」ですから、この点は交渉の中でも合意し易い部分ではないかと察します。いずれにせよ、為替合意が事実ならば、「次の交渉相手」であるEUそして日本にとって含意のある結果でしょう。

しかし、何を置いてもバイ(二国間)で交渉しても貯蓄・投資(IS)バランス上、貯蓄不足となっている米国経済の構造を踏まえれば、同国の経常赤字が消えることは考えにくく、中国や日本やEUが痛い目に遭ったところで恐らく赤字は残るであろう、、、という理論的事実が重要です。その時、トランプ大統領は冷静でいられるのでしょうか。そうした理論的にみてごく基本的な事実を側近が伝えることも出来ない(伝えたとしても伝わらない)という状況にはやはり辟易とさせられるものがあります。

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