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グーグルによるフィットビット買収で注目が集まるフィットネストラッキングとデータ活用

先日のグーグルによるウェアラブル端末大手のフィットビットを21億ドル(約2300億円)で買収、というニュースは大きな話題をもたらしました。

グーグル対アップルのハードウェアデバイスを巡る競争関係、ヘルスデータのプライバシー保護、独禁法抵触の懸念など、既にいろいろな論点で議論されていますが今回ぜひ触れてみたいと思ったのはフィットビットがもたらす、個人レベルでのテクノロジー・データ活用の新潮流です。

①国家レベルで健康増進に取り組むシンガポール政府と提携しているフィットビット
今回のニュースですぐに思い出したのが今年8月にリリースされていた「Fitbit、シンガポール政府と提携--「スマート国家」構想の健康プロジェクトで 」というニュースです。シンガポール政府の健康増進局(HPB)と提携し、フィットビットが提供する月額10ドル相当の健康コーチングを提供する「プレミアムサービス」を12ヶ月購読契約すると、158ドル相当のフィットビットデバイス「Inspire HR」を無償で得られるというプログラムです。先月オープンした国民の健康増進プロジェクト「Live Healty SG」のウェブサイトに詳細が記載されています。

シンガポール国民の約2割程度、約100万人のプログラム参加を見込んでいる、とのことですが、こうした取り組みを国を挙げて推進している点、病気予防、健康、フィットネスへの関心が高まっていることが分かります。生命保険会社がフィットネストラッキングサービスを提供して保険料の割引を提供している会社も増えつつあるように、個人の健康意識を高めつつ、ヘルスケアデータを集積して健康増進に活かすデータ活用も今後進んでいくことが予想されます。

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②フィットビット最新版デバイスに搭載された「アレクサ」によるスマートアシスタント機能

今回グーグルに買収されたフィットビットですが、最新機種の「Versa 2」の新機能として搭載されているのは、皮肉にもスマートスピーカー分野においてグーグルの競合であるアマゾンが提供している「アレクサ」です。今後グーグル傘下となるフィットビットがこの機能をどこまで継続するかは疑問ですが、AIスピーカーを自宅で利用する機会が限られている人にとってはAIアシスタント技術を試してみるよい機会になるかもしれません。ウォッチ端末に音声で質問を投げかけるとテキストでスクリーン上に回答が示される仕組みです。

③国内でも2020年にリリース予定の健康コーチングのサブスクリプションサービス、「フィットビット・プレミアム」

2019年を振り返った際、流行語としてノミネートされるほど話題になった言葉の一つにサブスクリプション(購読課金)があります。ヘルスケア分野で継続的にフィットネスを継続し、成果を出すためのサービスとして、米国では今年の秋からパイロットプログラムの提供が予定されていルトのことですが、国内では2020年を予定しているとのことです。

世界中で2,700万人のアクティブユーザーを既に有していることで、様々なデータを参照しながらアドバイスが得られるそうです。日本人の睡眠時間は平均6時間47分、平均就寝時間は午前12時で、Fitbitが展開する18カ国の市場の中で最も就寝時間が遅い、ということが示されています。

アップルウォッチはバッテリーの持ち時間が一日程度ということで寝る時に外す人も多いと思われますが、フィットビットの場合は5日程度持つ強みを活かし、寝ている間の睡眠時間のトラッキングにも威力を発揮しています。

生活の中に少しずつ浸透しつつある日々の行動のデータ蓄積、AI分析の利用ですが、1年後、2年後の未来がどのようになっているのか、興味を持って見つめていきたいと思います。

Photo by Kamil S on Unsplash



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市川裕康 (メディアコンサルタント)
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