未成年のゲームへの課金が社会問題へ発展。10歳で廃課金者誕生の世界は健全なのか
今や巨大産業となり、たくさんの中国企業が莫大な利益をあげているゲーム市場について。あまりに巨大でスピード感のある市場に対して、世論や政府からの監視や規制が目立ってきていて、報道で株価が大きく動いたりネット民の議論が白熱したりの機会が多くなっています。
ゲーム業界にまた新たな動きがあり、未成年者のオンラインゲームへの課金に対して規制が入ることが話題になっています。中国インターネット協会から「未成年者のオンラインゲームサービス消費管理要求(意見募集草案)」が発表され、未成年者の課金管理と返金規定に関する初めての規範となります。
この規範は未成年者のゲーム課金問題を細かく規定していて、過失の有無に応じてオンラインゲームサービス提供事業者や保護者の責任割合を明確に区分するものです。と、難しく書きましたが、簡単に言うと未成年者が過剰に課金してトラブったときにどうすればいいかの規範です。
その背景には近年の未成年者によるゲーム内課金トラブルの社会問題化がありました。いくつかのゲームは対象年齢8歳以上の低年齢向けにもかかわらず高額な課金要素が仕組まれているなど、明らかに悪どい実態が度々SNSで炎上していました。
Weiboで未成年と課金をキーワードで調べれば、過去に話題となったニュースがわんさか登場します↓
↑山東省の9歳の子供が二日間で1万元(約20万円)弱を課金して親にバレた。
↑四川省の裕福ではない家庭の子供が親の貯金の全部、1万2000元を課金しちゃった。
↑5歳の子供がPUBGで1万1096元を課金した。
↑大連の11歳の子供が、おじいちゃんの治療費4万元をゲームに課金した。
↑河南省14歳の子供が、お父さんのがん治療費8万元を課金した。
↑10歳と11歳の子供が、父親の死亡賠償金の22万元をおばあちゃんを騙してゲームに課金した。
などなど、報道されるものも中国全土で数え切れないほどです。お気の毒ですが、個人的には完全に保護者の監督不届きで、基本的には親に責任があると思います。そして、今までこういったトラブルでは消費者が強く主張すれば一部または全額返金されるケースもよくあります。
↑Zhihuで調べると「どうやって返金できるか」の技術や経験談がたくさん出てきます。日本でも親が強く主張すれば返金されるケースがあるようですが、ちょっとググった程度ではこのような返金攻略法は発見できませんでした。
この攻略方を悪用して、親自身がガチャに大金を突っ込みお金の損失があったときも、子供が使ったことにするケースも発生。このような親の嘘主張の際にも、未成年だから返金しろと言われるゲーム運営者がちょっと可哀想です。
こうした状況を受け、今回の規範では未成年者の年齢層に応じた課金上限額を設定する上、責任の認定についても詳しく言及しました。具体的には↓
というもの。過失がオンラインゲーム事業者側にある場合は100%の責任を負うことを明記されている他、仮に保護者側の監督責任違反があったとしても、オンラインゲーム事業者が30%~70%の責任を負うよう定めています。未成年者の合法的権利がより守られることが第一に考えられています。
中国政府はかつて未成年保護の視点で、未成年のゲーム時間が厳しく設定されています。これは過去にnoteで紹介しました↓
その結果、それでも遊びたい子供たちが、親の情報で実名登録をしたり、おじいちゃんやおばあちゃんを騙して情報を借りて実名登録することはけっこう普通です。例えば上記の22万元も使い込んだ子供二人は、おばあちゃんにオンライン講義を受けるための顔認証が必要だと嘘をついてゲーム会社や銀行が設定したルールを突破したのです。
こういったやり方があまりにも多く、夜更かししてゲームをする高齢者が多いことも話題となりました。こんな時間にFPSやってるおじいちゃんいたら怖いです笑
以前のnoteでも紹介したように、中国のオンラインゲームやモバイルゲームはある種の電子出版物として許可制でリリースされるものです。こういった注意喚起はゲームを立ち上げる時に表示することが義務づけられてます。
といったように、未成年のゲーム熱をコントロールして健全なゲームライフを目指していたが、それでもゲーマーを産み廃課金者を誕生させてしまっていて、新たなルールを作っているという状況。そして、この中毒ゲーマーを生み出すゲームがどんどん世界に出ていっています↓
中国のオンラインゲームは麻薬のようなハマり方を促すものが多いので、未成年が深くハマってしまうことはわかります。そしてそれが世界へ輸出されることがちょっと心配です。未成年の重課金は日本では問題になっていないですか?ぜひコメントで教えて欲しいです!
(参考資料)