人は習慣の生き物ー似たような人々で群れないことの効能
先月、リンツ・オーストリアで開催された世界的なメディアアートフェスティバル、「アルス・エレクトロニカ」での展示を終えて日本に帰ってきました。
現地では世界中のアーティストやキュレーター、研究者の方々とのネットワークができ、本当に素晴らしい体験になったのですが
結果的にそうなったのは、おそらく出発前に英語の勉強のために見たこちらのTEDx動画がきっかけでした。
人間は自分と似たような人達と群れる習性がある
組織心理学者のトーニャ・メノン氏は、人間の本能的な習性として、同質性の高い人達でつるんでしまう傾向があることを指摘します。
「会場にいる皆さん、今一緒にいるのは、同じ人種ではないですか?同じ性別では?さらによく見ると、あなたたちは見た目もどこか似ていないでしょうか?同じような髪型だったり、同じようなチェックシャツを着ていたり、筋肉質だったり……」
図星だったのか、苦笑いが漏れる会場。
重要なチャンスや転機をもたらすのはストレンジャー
もちろんそれは悪いことではないのですが、結果として極めて狭い人間関係の中に陥ってしまい多くの機会を損失してしまう危険性をトーニャ氏は語ります。
新しい仕事を得るなど人生における重要なチャンスや転機をもたらすのは、家族や恋人、親友や旧友などの慣れ親しんだネットワークではなく、たまたま知り合った人、偶然出会った人などの「弱い繋がり」であることが多いからです(慣れ親しんだ人とはもともと持っている情報や交友関係が被っていることが多いから。まあ、確かにそうですね…)
実践したら、確かに大正解だった
付け焼き刃の英語の勉強のために聴き込んでいたトークだったのですが内容にはかなり頷ける部分が多かったので、すぐに実践しました。
オーストリアに到着してからは拙い英語でもなるべく様々な人種の方にガンガン話しかけることにし、「なるべく同じ人種の人とは話さない」というのを基本の行動指針にしてみました(とはいえ、慣れない言語や文化圏に疲れた時は日本の方々と話して癒やされていましたが…)
これは結果的に大正解で、現地では多くの新しい価値観、全然知らなかった情報、新しいネットワークとたくさんつながることができ、良いオファーにも繋がり、本当に渡航冥利につきました。
正直異質な他者と関わることへの心理的なハードルを超えるのは「よいしょっ」という気合がいるのですが(精神的に疲れてる時は厳しかった……)、それを補って余りあるほどの収穫があることが分かりました。
今週末からは北京に出張です。帰国してから日本でヌクヌクと過ごしていましたが、ここはひとつ再び気合いを入れて、異質な他者との接触を楽しんでこようと思います。
トークの中では「ありがとう」「ごめんなさい」などの基本的な言葉を世界中の言語で覚えてみることの有効性にも言及されていたのですが、実際人種が違う人であったとしても少しでも日本の言葉を喋ってくれると親しみの感情が急上昇するので、次回はこれにチャレンジしたいです。