シンガポールで見た日本の未来理想図(2) 1億総活躍社会シンガポール
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シンガポールでは女性の7割以上が働いており、共働き比率も4分の3程度です。働く高齢者も多く、55歳から64歳の就労率は64%です。働き手が多いこともあって、世帯月収の中央値は約70万円と高額です。また、一人当たりのGDPは日本よりも高く、収入は毎年2%前後ずつ右肩上がりになっています。シンガポール政府は労働力の重要性をよく理解しており、それに合わせて保育所や外国人家事労働者サービスの提供をしています。
日本の2人以上で暮らす勤労者世帯の1カ月の平均世帯収入は、妻の収入が8万円以上の家庭で月71万48円、妻の勤め先収入が8万円未満の家庭(いわゆるパート世帯)で月56万8321円、収入が夫のみ(夫婦のみ世帯)の家庭で月44万2451円と、妻の働き方によって大きく世帯の月収が変わります(家計調査、2017年)。
総務省の統計では、2016年には専業主婦世帯の664万世帯に対して、共働き世帯は 1129万世帯と、約1・7倍も多くなりました。日本でもようやく1億総活躍社会の実現が叫ばれていますが、夫婦で働き、高齢者も働けば世帯収入がシンガポールと同程度になることが期待されます。
シンガポールでは専業主婦は珍しく、一部の特権階級のものです。出産をしても3ヶ月程度で復帰をしてフルタイムで働く女性が多いのです。物価が高いので、共働きをすることで、子供の学費を支払ったり、自分達が欲しいものを買ったり、老後の蓄えを作っていくことができるようになるのです。
日本も世帯所得を上げて緩やかなインフレにしていかないとグローバル経済の中、ジリ貧になってしまいます。老後は東南アジアに移住すれば良いという発想も現在の高齢者はギリギリ可能かもしれません。ですが、東南アジア諸国の今後10年20年での物価上昇率を考えると、その夢はどんどんむずかしくなっていくでしょう。人生100年時代、夫婦で長く働くことなしには老後のお金の安心も保障するのが厳しいのです。また、資産運用も必須になるでしょう。
次回は「少子高齢化なのに老後不安がないのはなぜ?」をお伝えしておきます。 (3)へ続く