見出し画像

ニッチを狙え!これからのヒットの法則は「自分史上最高」

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

「デジタル敗戦」などの言葉に代表されるように、日本企業の国際競争力が低下しているという指摘をよく耳にします。市場が変化しているのにも関わらず伝統的な企業が変化を恐れた結果、次の主役となる市場への投資が十分に行えずに競争力を失ったわけです。

80年代末、世界の株式時価総額の上位は金融機関をはじめとする日本企業が独占していた。今はエヌビディアなど米テック大手のマグニフィセントセブン(M7)がその地位にある。IT(情報技術)革命の到来がいわれた90年代に、日米の明暗は分かれた。

米企業は会社の形が変わろうとためらわず、ITに巨額をつぎ込んだ。マイクロソフトがウィンドウズ95を発売してインターネット元年とされた1995年以降、情報化投資は加速し続けた。
(筆者略)
IT投資は生産性の向上につながる。日本は、生産性でも世界から置いていかれるようになった。10年代に20位前後だった世界の順位は、直近で29位まで落ちている。「デジタル敗戦」の末路だ。

日経電子版

一方で、我が国には国内外で高い競争力を有している企業が数多く存在します。特に国際的に高いシェアを保っている企業はいわゆる「ニッチ分野」でのトップの地位を築いています。このような企業を支援し、また新たにグローバルニッチトップを目指す企業を生み出すために、経済産業省が「グローバルニッチトップ100選」を取りまとめています。

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/gnt100/index.html

個人消費においても、総合型の小売りチェーンからアパレル、めがねなどの専門型に主役がシフトしています。特に日本は「細かすぎるこだわり」がヒットの芽となることがあります。さながら、ニッチ大国・ニッポンです。

近年のヒットもプチヒットが続く。2024年に生活・家電用品を手掛けるドウシシャの、ふくらはぎをケアする「ゴリラのひとつかみ」がヒットした。開発担当者がサンプル作りを発注するとき、設定をミス。想定より圧迫力が強いサンプルが届いた。しかしこの「痛気持ちよさ」が武器になると思い、そのまま発売。ネーミングの巧みさも相まって30〜40代の女性の心に刺さった。ちなみにゴリラシリーズには、足裏をケアする「ゴリラのひとつき」もある。

日経電子版

ドウシシャのもう一つのヒット商品が「白湯専用マグカップ」です。最近、女性を中心に朝から白湯を飲むような「温活」が流行っていますが、沸かしたてのお湯が適温になるまで時間がかかり、忙しい朝には向かない。そんな課題を解決するマグカップです。

実は私も愛用していて、リモートワークのお供として大活躍しています。それまでは保温力の高いサーモスのカップを使って会議の合間に中国茶などを淹れていました。しかし、中国茶は95~100度で抽出することが多く、淹れたてだと熱くて飲めません。会議中にフーフーしていると眼鏡が曇る、、、という地味に不便を感じていました。冷まして適温で保温してくれるこちらのマグカップは、そんな用途にピッタリはまっています。

吸熱と保温を実現するため、やや肉厚のカップ

最近のヒットの傾向は「超目的特化型」であるようです。デジタル製品などでも技術が向上してコストも下がってきた結果、もはや性能面では違いが出せない。使い方や突出した機能など攻めのアピールが必要となっています。

さらに言えば、情報過多でSNSで他人の動向が簡単に見えてしまう現代においては、基準を外に持つと疲れてしまいます。2025年には単身世帯が40%にも達すると言われているお一人様社会の拡大もあり、基準を自分に持つ傾向が拡大していくでしょう。攻めた商品であっても「わたしにぴったり!」を思えるようなもの、つまり「自分史上最高のもの」こそがベストな消費行動になっていくのだと思います。


みなさまからいただく「スキ」がものすごく嬉しいので、記事を読んで「へー」と思ったらぜひポチっとしていただけると飛び上がって喜びます!

タイトル画像提供:siraanamwong / PIXTA(ピクスタ)

#日経COMEMO #NIKKEI

いいなと思ったら応援しよう!