「うちに限って…」と考えている夫こそが危険な熟年離婚
2017年の離婚件数は、約21万2千件でした。
離婚件数だけを見ると、2003年の28万9836件を頂点として、なだらかに減少しているように見えますが、そもそも婚姻数が減少している中での21万件の離婚です。決して低い数字ではありません。
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離婚の指標にはふたつあります。ひとつは普通離婚率といって、人口千人当たりに対する離婚率。もうひとつは年間の離婚数をその年の婚姻数で割った特殊離婚率というもの。
日本の特殊離婚率は、2001年以降ずっと35%付近をキープしています。最新の2017年の特殊離婚率も35%でした。この特殊離婚率の指標がマスコミがよく使う「3組に1組が離婚している」という意味です。
特徴的なのは、近年結婚後20年以上の夫婦の熟年離婚が増加しており、2017年も3万8千件、構成比にして18%にもなりますが、これは過去最高記録です。いかに高齢者の離婚が増えているかがわかると思います。
離婚が少なかった1960年と2010年との50年間で、年齢別有配偶離婚率を比較したものが下記のグラフです。
50年前と比べて大きく変化したのが、以前は若い男性の離婚が多かったのに対して、近年は中高年の離婚が圧倒的に増えたということです。同時に、早婚女子の離婚も増えているという二極化が進んでいます。
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このコラムでも何度も書いていますが、日本のソロ社会化は、決して未婚者だけの問題ではありません。結婚したとしても、誰もが配偶者との離別または死別によって、ソロに戻る可能性がある社会なのです。それは、たとえ銀婚式を迎えた夫婦とて例外ではありません。50代後半になって、奥さんから見捨てられてしまう旦那さんが増えているという事実をご認識いただければ、と思います。
僕は、独身研究家として、こうした「離婚によるソロに戻った中高年男性」にもたくさん対面調査をして、お話を聞きました。彼らに共通するのは「うちに限って…」とずっと思っていたってことです。
現場からは以上です。
追記
ちなみに、熟年離婚後の夫の末路についてはこちらの記事に書きました。
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