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ECBの決断、注目は2指標

5月31日に発表されたユーロ圏の同月インフレ率は4月の7.4%から8.1%への上昇となった。25bpずつの利上げが続けられる可能性が高いとの見方を変えるものではないにせよ、6月9日のECB会合を前に政策理事会内で50bpの利上げを主張するメンバーを含め、政策正常化の加速を求めるタカ派が勢いづいてもおかしくない。

公表されたドイツとイタリアのデータの内訳をみると、ユーロ圏の前年比HICP上昇率の加速70bpは幅広い要因に起因する。食品とエネルギーがそれぞれ約20bp寄与した一方、コアインフレ率も3.5%から3.8%に上昇し、総合インフレ率を30bp近く押し上げる。コアインフレ率の上昇は、財とサービスのいずれにも起因する。コア財価格はサプライチェーンの長引く混乱を一因に、パンデミック以前のトレンドから乖離し続けている。5月にはサービス価格も特にイタリアで上昇し、それゆえパンデミック以前のトレンドからさらに上放れしている。これはオミクロン後の経済再開や価格形成チェーンに浸透する投入コスト上昇の持続的な影響によるものと思われる。今回のデータはコアインフレ率や食品価格の上昇が今後数か月、総合インフレ率のますます重要な要因となる一方、スペインとポルトガルのガス価格規制などのように物価の上昇から消費者を守ることを目的とした各国政府の措置により、エネルギーの役割は徐々に縮小することを浮き彫りにしていると考えられる。

ユーロ圏のインフレ率は過去最高値を更新し続け、秋口までは少なくとも現状継続となるのではないか。その上で、インフレ圧力の強まりから、新たにどの程度のインフレ期待や賃金の伸びの押し上げとなるか。ECBは適切な政策対応を見極めるため、インフレ期待と賃金の伸びの二つの指標について注視していくことになると見ている。



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