現状のドル安をどう読むか?
記事中、コメント引用させて頂いております。今次ドル高局面が始まった2014年以降、ドル相場は実質実効ベース(REER)で20%以上、名目実効ベース(NEER)で30%以上、上昇しました。為替相場にフェアバリューはありませんが、理論的に長期平均への回帰が肯定される変動為替相場の世界において、この動きは明らかに行き過ぎと私は考えて参りました。2017年はこの巻き戻しが始まった年として記録される年になるでしょう(「始まった」という表現にしたのは、当然それがまだ続くと考えているためです)。
しかし、2017年に入りドル安が進んでいることは想定通りであるものの、その反面で思ったより円高が進んでいないという誤算は個人的にはあります。これはドル売りの受け皿がメキシコペソとユーロになっているからです。例えば年初からのドルのREERは約▲4%下落していますが、この9割方はこの2通貨に対する下落で説明できます。この背後には「思ったよりトランプ政権によるメキシコへの指弾が強まらなかったこと」、「ECBが思ったよりもタカ派に傾斜したこと」、「マクロンが圧勝したこと」などが挙げられますが、これらの材料は今後1年を見渡して持続的とは思えません(というよりもECB正常化以外の2つはもう既に怪しいでしょう。ECB正常化も頓挫すると思いますが、ここでは解説を割愛します)。
ドル高の調整が途上であり、受け皿としてのメキシコペソやユーロの買いが今後収束するのだとすれば、代わりの受け皿が必要になります。それがREERベースでの下振れが続いている円なのではないか、というのが私の今のラフな基本認識です。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO20423300W7A820C1000000/
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