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ステイホームで活気づくアート市場

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

本日から4都府県が対象の3回目となる緊急事態宣言となりました。ちょうど1年前に1回目が出されたときには目に見えて街の人出が減りましたが、今回はそのような様子は見られないようです。

それを見越してか東京都は、1000平方メートルを超えるデパートなどの大型商業施設や、酒やカラオケ設備を提供する飲食店などに休業を要請するほか、酒を提供しない飲食店には午後8時までの営業時間の短縮を要請しました。

個人的に驚きだったのは、映画館や美術館や図書館といった文化施設に対しても休業要請が出されたことです。特に美術館などは、ここ1年で事前予約を必須にして会場の密度を管理していました。また、基本的に大声どころかおしゃべり自体が憚られる空間であるので、すっかり油断していました。GW期間は例年各地で企画展が行われることが多いです。去年・今年はオリンピック客へのおもてなし(と、日本文化のアピール)を狙ってか、普段出さないような国宝・重要文化財を一気に公開!みたいなものもありましたので、個人的に楽しみにしていました(残念ながら予約キャンセルおよび返金のお知らせがやってきました)。

ここ最近、新富裕層を中心に伝統的な投資である株や不動産のみならず、ワインやアートなどに投資対象が広がってきています。昨日・一昨日にかけて行われたSBIアートオークションでは幅広い年代に人気のある奈良美智さんの作品が最高値をつけました。事前の予想価格¥1500〜2500万円を大きく上回る7705万円でした。

モノだけでなく、ノンファンジブル・トークン(NFT、代替不可能なトークン)と呼ばれる、ブロックチェーン技術を使って複製困難にしたデジタルアートも話題を集めています。今年3月にはデジタルアーティスト「Beeple」の作品「Everydays: The First 5000 Days」がオンライン・オークションで、約75億円の高値で落札されました。将来の値上がりを期待した投機的な動きがアートの世界にも見られます。

一般人には無縁と見られるアート市場ですが、コロナ禍の影響でアートを取り巻く環境も変化が起きています。

アートを手軽に楽しむ方法として「借りる」のもひとつの手だ。その名もCasie(カシエ、京都市)が手掛けるのは、絵画レンタルのサブスクリプション(定額課金)サービス。絵の大きさによって、月額1980円、2980円、5300円と3つのプランがあり、利用者はサイト上で好みの絵を選び、自宅やオフィスに飾ることができる。取り換えは最大で月に1度で、年間12作品の彩りを体験できる計算。気に入った作品は購入も可能だ。
(筆者略)
間接的にアーティストを支援する形になるのもカシエの特徴。取り扱う作品は作家から預かったもので、利用者に貸し出されれば月額料金の35%がアーティストに還元される。作品の登録は無料で、いまでは800人の作り手から約1万点の作品を預かる。

カシエが画家を対象にアンケートを取ったところ、個展が開けないなどで25%の人が収入が減ったと答えたそうです。一方で、アートを飾るニーズは自宅で過ごす時間が増えたことで増加し、カシエでは昨年1年間で会員数が8倍になりました。

私自身の以前からアート作品は好きでしたが、この1年でいくつかの作品を画家から購入しました。長引く在宅勤務の中で、家で過ごす時間が飛躍的に長くなった影響だと思います。

資産価値を意識した場合、流通市場(セカンダリーマーケット)の役割は大きいものです。そのことで画家自体の収入アップにつながる面もありますが、作品自体が離散してしまい長い目でみたときに文化の公共財としての役割が果たせなくなるリスクもあります。個人的にはアートにお金を払うことは、所有ではなく「現世におけるレンタル料」および作家のサポートとして捉えています。

アートの裾野が広がり、多様な文化が生まれていくことは素晴らしいことです。ぜひこの機会に、自身のお気に入りに出会って部屋を彩っていただけたらいいなと思います。

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タイトル画像提供:fpphotobank / PIXTA(ピクスタ)

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