日本では、絶対に”逆張り”
人生において、大勢と逆の選択肢を行く逆張りを実践してきたことが、この年になって効いてきていると感じます。
逆張り、は、大勢の人が右に倣え、になりやすい日本において特に有効です。
私の本業は眼鏡屋なのですが、コロナ禍においても積極的に出店していきました。コロナ禍で新規出店、アグレッシブですよね、と言われることもありましたが、右に倣えで周りと同じように縮小する、保守的に計画を見積もる、というのは誰にでもできることで、世の中の流れと逆のところにこそ、成功の種、というか金脈が眠っているものだと思い、勇気を振り絞って拡大戦略をとってきました。コロナ禍だからこそ、我々のような新興企業でも良質な物件、出店立地にアクセスでき、結果的に、コロナ禍を経て大きく飛躍することができました。
特に、我々のような新興企業、後発企業は、逆張りしないと厳しいです。
例えば、大手がやらないような細かいこと、面倒なことを異常なほどにやり切って、競争優位を構築していくことは、ベンチャーの戦い方として、一般的です。しかしながら、そのベンチャーが面倒なことを面倒だ、とやらなかったらチャンスがあるものも、勝てなくなってしまいます。
結局なんでも逆張りで大勢の人が追いかけるところには大きなリターンはありません。商売に至っては、ある程度トレンドが過ぎるとリターンどころか搾取される側になってしまいます。
昔、タピオカ屋が乱立した時期がありました。オフィス近辺だけでタピオカ屋が5件もあったのは今では信じられない話です。
オフィス下の店は、最後のほうは、並ばずに買えるどころか経営を心配するほど閑古鳥でした。振り返ると、ブームも一瞬でした。タピオカも盛り上がってきて参入準備はじめて、いざ出店時には下火にはなってて、結局目にみえる、分かりやすい流行り物のトレンドを追いかけてるうちはいつも搾取される側、敗者になりがちです。逆張りにしか果実はありません。
個人のキャリアや日々の生活だって同じです。
自分の場合で言うと、眼鏡屋をはじめる前に2社でサラリーマンを経験しましたが、そこでも逆張りをしてきました。
まず、新卒で入社して外資系証券会社においては、あえて志願し、人気のない新興のチームへの配属を希望しました。同期からは、なぜ?、と不思議がられましたが、振り返ると、新興のチームだからこそ、入社してすぐに色々と任せてもらうこともできて、結果的にその経験が起業の際にも活きました。
転職の際も、年収が半分になりましたが、立ち上がったばかりのベンチャーに転職しました。その際も、なんであんな会社に行くのか、考え直したほうがいい、と色んな方に言われましたが結果的にその会社は、15年ほど経つ今、驚くほど成長しています。
最近トレンドになっているインフルエンサーという仕事についてもそうです。以前うちにファッション系の投稿をしながらSNSのフォロワー数万人の新卒入社の子がいました。うちの会社はバリバリのファッション系ではないし、そういう社員も当時他にいなかったので、持ち前の能力もあり、またうちがベンチャー気質で年功序列や経験など関係なく、できる人にはどんどんステップアップしてもらう文化なので、彼はトントン拍子で昇進していきました。
バリバリのベンチャー企業においては珍しく、ファッションのセンスがあり、フォロワーもたくさんいる、ということで彼に特別感が生まれ、ステップアップしていくことができたのに、彼は、バリバリのファッション系の大企業に転職してしまいました。バリバリのファッション系企業に行くと、同じような社員はたくさんいるでしょうし、中途だと埋もれてしまいます。
インフルエンサーという仕事も似ている部分があります。影響力があり、なんかフォロワーの多いビジネスマンだとすると、フォロワー数万人でも際立ちます。私もあるSNSでフォロワーが2万人ぐらいいますが、経営者にしては多いので、すごいですね、と言われることが多いですが、インフルエンサーを名乗っていたらそのフォロワー数だと際立ちません。
インフルエンサーになってしまうと、そこには100万人のフォロワーの人がおり、急に特別感がなくなってしまうのです。最近、元AKB48の小嶋 陽菜さんが経営者として活躍されていますが、元々芸能人だった人がガチンコで経営者をするから逆張りで際立つのだと思います。あれも逆張りのいい例です。
私生活でもそうでしょう。自分の場合で言うと、華金だからこそあえて予定を入れず家でご飯食べて読書したりして1人ゆっくりすることが多く、これぞ極上の華金の過ごし方、と思っています。ランチを12時に食べにいかない、満員電車に乗らない、GWや年末年始に旅行に行かない、これらもそうです。
いやいや、GWしか休みとれない、満員電車乗らざるをえない、と思うかもしれないですが、ランチを12時に食べにいかなくていいように、満員電車に乗らなくていいように、旅行をずらした時期にいけるように、要するに自由になれるように、自由な人生を送れるように、日々努力を重ねていかないといけないということだとも思うんですよね。
逆張りの話。