生成AIでイノベーション思考を飛躍的に伸ばす
Microsoft Bingが凄い
とある授業にて、講義を履修している理工学部の学生が「Bingが凄いんです」と力説してくれた。というのも、通常は有料の Chat GPT-4 をBingなら無料で使えるというのだ。当然、本家の有料サービスと比べると機能に制限がかかっている。
しかし、ティーチングアシスタントやリサーチアシスタントなどの助手変わりに使うには十分な機能をそろえていた。
狙ったものを作るには少々コツがいるものの、画像生成AIもあり、無料で使ってよいのかと躊躇してしまうほどの有料コンテンツだ。
Microsoft、ChatGPTの最新版を企業に提供 動画も認識:日本経済新聞
イノベーション思考研修に生成AIを活用する
生成AIは、イノベーション思考の研修で使うのに非常に相性が良い。
イノベーション思考の研修は、様々なプログラムがあり、多様なコンテンツが巷に溢れている。しかし、理論的には基本的に同じ学習目標を持っている。
それは、研修刺激によって3つの思考パターンを学ぶことだ。
1つ目は、論理的・批判的思考といった「正解を求める」、発想を収束させる思考からアイデアを出す癖を壊すことだ。私たちは、学校教育や仕事生活において、論理的に考えることと、批判的に物事を分析する能力を長年かけて訓練されてきた。それに対して、独創性やユニークさを磨くような創造的な思考を体系的に訓練されることは少ない。そのため、創造的なアイデアを求められる時にも、つい論理的思考や批判的思考を用いる癖ができている。この癖を研修で壊すのだ。
2つ目は、固定観念を壊すことだ。何か物事を考えるとき、つい「かくあるべし」という常識に基づいて考えてしまい、事象をゼロベースで考えることを妨げてしまう。そこから、重要な発見を見逃してしまい、無難で陳腐なアイデアに落ち着いてしまう。いわゆる「コロンブスの卵」だ。インドへは喜望峰を回らなくても、大西洋から周っても行けるのだ。
特に、自分の良く知っている分野やプロとして経験を積んできた領域に関しては、強固な常識がこびりついてしまい、柔軟な発想を阻害してしまう。
この固定観念を壊す方法の1つだ、偶発性に任せることだ。例えば、新しい丼料理を考えようといったとき、具材をサイコロで決める。そうすると通常ではありえない組み合わせができるので、無理やりなんとかしようと考えることで固定観念を壊すことに繋がる。
3つ目は、できるだけ早くプロトタイプを作って顧客や市場と対話することだ。どれだけ机上で優れた計画を立てたとしても、その計画が上手くいくかどうかは実行してみないとわからない。例えば、和牛よりも美味しい昆虫食を開発したと文面で出されても、実際に食べてみないことには顧客に良さが伝わることはない。そのため、プロトタイプを早く作り、想定する顧客や市場とコミュニケーションを繰り返すことが重要になる。
これら3つの学習目標に対して、生成AIは非常に優れたツールだ。生成AIが出すアイデアを叩き台とすることで、創造的な思考をしやすいように下地を作ることができる。また、生成AIは人間とは異なる思考プロセスをたどるため、思いもよらない提案をすることもある。この提案が固定観念を壊すことに役立つ。最後に、生成AIがアプリ開発を自働化してくれるように、プロトタイプの作成やアイデアの視覚化においても、非常に効果的だ。
これまで、このような効果をもたらすために、レゴブロックを使ったり、段ボール工作をしたりと心理学者は様々なツールを用いてきた。生成AIは、新たなイノベーション思考の研修ツールとして主流となるポテンシャルを秘めている。
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