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ビジネスパーソンが人文学の視点を学ぶことの意味

最近は、マーケティングの本より、文化人類学をはじめとした人文学系を学ぶことに時間を使っています。

人類学の特徴は、フィールドワークを通じて、人類の文化の共通性、異質性、多様性を知ることだと捉えています。

この文化の多様性を理解することの意味について考えたことを書いていきます。

人文学系を学んだ経験、知識がある人が求められる

先日にツイートしましたが、SONYが文化人類学など人文学系の視点をベースに人と社会を研究する人材を募集していました。

dodaの募集要項をみてみると、業務の特徴、キャリアパスの記載が興味深いです。

■業務の特徴:
人の本性・本質や、社会現象の背後にあるメカニズムを研究し、成果を新事業や新体験の提案に結び付けます。
人文学をベースに自然科学等、幅広い学術分野の視点から仮説を策定し、検証していただきます(例:人にとってのSocialな行動の価値や意味あいは何か?)。研究成果(論拠)をベースとした事業・体験の提案も業務に含まれます。
■キャリアパス:
企業間の競争軸が人の体験にシフトしているため、人間自体を理解しようとする取り組みは今後の世の中で増えていくと予想されます。
そうした中、人についての学際的な知識の蓄積や、関連する研究者との人脈の構築、そしてそれらを事業に関連付けるスキルを身につけることは大きな強みとなる可能性があります。

ソニーグループ株式会社 doda求人票より引用

世界でも注目される人文学系の知

下記の記事で、Facebook(現メタ)が800人程の社会心理学者と文化人類学者等を採用したことが書かれています。

車を作りたいなら機械エンジニアであったほうがいい。それと同じでエスノグラフィーや何らかのセンスメイキングをするなら、その種の人文科学の経験があったほうがよいのです。つまり企業には、人文科学のトレーニングを受けた人を雇うニーズがあり、実際に多くの企業がそうした人を採用しています。

4つの階層で人間を理解すること

では、いきなり人文学系を学ぼうといっても、多くの人にとってはハードルが高いと思います。

日常の仕事で意識したいことだけまとめておきたいと思います。

ポイント
意識⇆無意識⇆身体⇆環境、4階層のつながりを理解する

その人が言っていること、行っていることは、その人の個別事象ではなく、所属している社会・コミュニティに影響を受けるわけです。

文化人類学者が、なぜフィールドワークを大切にするかというと、言葉ではわからない社会・文化背景を身体感覚で理解するためだと捉えています。

なので、人文学の視点で観るとは、この4つの階層を往復しながら、人間理解を深めることだと整理しています。

この4つの視点で視ることは、研修でなくても、ビジネスの世界で顧客を理解したり、組織を理解する上で重要だと考えています。


マーケティングの仕事をする上で「人の認識や行動は、その人の環境に依存する」ということを頭に入れておくことは大切。

自分の社会や文化を考える常識をもとに、顧客の声を捉えてしまうと、こんなこと言っているけど嘘ではないか…と無意識に切り捨ててしまったりしてしまいます。

そんな時は、4階層を一気通貫でみて、その人の言動の裏側まで想像するようにしたいところです。

自分の常識を捨てて問い続ける訓練をすること

次々と新しいアイデアをもって事業を立ち上げる人は、人文学で学ぶ「社会や文化や人そのものを理解する視点」をもって生きているのだと考えさせられる記事があります。

ビジョナルの南社長のインタビューがとても面白かったです。

――社会の課題はどうやって見つけるのですか。
「全ては観察に始まります。気に掛かることがあったら徹底的に観察して、情報収集する。そして、なぜそうなっているのか、どうすればいいのか、と問い続けます」
(中略)
「こんな生い立ちのなかで、世の中の仕組みや本質を理解しようと『問い続ける』訓練を積めました。もともと好奇心も強いのですが、当時の経験が、社会の課題を探り出して事業領域の拡大につなげる今の仕事に生きています」

たくさんのデータに溢れて分析し放題の今だからこそ、社会・文化・人間の本質を1次情報に触れて考察する力が求められていると強く感じる今日この頃です。

最後にオススメの人文学系の書籍をご紹介して終わろうと思います。

人部学的思考で、ビジネスと世界をつなげて視るとはどういうことか?を理解できる本です。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

以前に類似テーマで書いた記事もあるので、興味ある方はぜひ!