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バック・トゥ・ザ・パスト思考と面白い企画

良い企画に共通する思考とは何か?

この問いを最近よく考えています。

"良い"という意義は曖昧なので、
良い
=多くの人が面白い、意味があると感じる
と自分の中で定義をしています。

良い企画には「普遍性」がある

多くの人が面白い、意味があると感じる企画に共通する要素は何かを考えたときに「普遍性」があるという答えに行き着きました。

普遍性とは?

辞書の定義を確認しておきます。

-普遍性
〘名〙 すべてのものに通じる性質。また、広くすべての場合にあてはめることのできる性質。

精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について

普遍性とは違うのは、
・今だから面白い(トレンド)
・一部の人だけが面白い(身内ネタ)
など、一時的な、かつ限定的な欲求を刺激するのは普遍性とは違うものと捉えています。

誰もが、なんとなく普遍性は大切だとは思いつつ、トレンドや目の前の人が飛びついてくれそうなものを企画アイデアに組み込んでしまいがちだと思います。

ではどうすれば良いのか?

もう少し具体的に、日々の仕事や企画に普遍性を組み込む視点を整理していきます。

飛鳥時代の人も喜ぶかどうか?

ほぼ日刊イトイ新聞を運営する「ほぼ日」の企画の基準について、糸井さんが対談で語っている内容がとても参考になります。

ほぼ日は、ほぼ日手帳を中心に、え?このカテゴリーでこんなに売れるの・愛されるの?という商品を生み出しています。

なぜ、手帳がたくさんある中でほぼ日手帳は売れ続けるのか?を考えた時に「人の普遍性と向き合って生み出されたブランドだから」という要素があるのだと思います。

人は変わるということを言われすぎていると思います。何かの登場で社会が変わるということはあくまでポジショントークにすぎません。ぼくもそういったことを言ってしまうことがあるかもしれませんが、そう言ったり、書いたりした人もその通りに生きてはいません。カルチャー誌で特集されているようなレストランで、担当した編集者が女の子とご飯を食べているとは限らないのと同じです。人の心は時代が変わっても、それほど変化はしません。だから飛鳥時代の人も喜ぶかどうかを1つの基準にしています。

糸井重里流アイデアが集まる組織 「いいこと考えた!」を気軽に

任天堂のゲームプロデューサーである宮本さんとの対談も面白く、企画のヒントが詰まっていたので引用します。

※以下は糸井さんの言葉
鎌倉時代でも室町時代でも、
ピラミッドの時代の人でも
おもしろいって思うようなもの。
そういうものが根っこのところにあれば、
あとは時代性だとか、ファッションだとか、
いくらでも色づけできるわけだからさ。

宮本茂はどういうふうに構造をつくっていくのか。
 第3回 室町時代の人でもわかるおもしろさ

※以下は宮本さんの言葉
だから、『テトリス』なんて、
室町時代の人でもわかるゲームだと思うんです。

宮本茂はどういうふうに構造をつくっていくのか。
第3回 室町時代の人でもわかるおもしろさ

何かを企画するときに、

飛鳥時代、室町時代の人も理解して喜んでもらえるか
(時代はいつでも良さそうなので気分によって変える)

この普遍性と向き合う問いを入れ込むことは、視点を目の前から普遍的なことに引き戻してもらえます。

バック・トゥ・ザ・パスト思考のススメ

よく、未来思考で考えようと「バックキャスト思考=未来から逆算する思考」という言葉が使われます。
10年後、100年後の未来を思い描いてみよう!みたいな感じですね。

みんな未来が大好きです。

でも、人が普遍的に求めているものと向き合うのであれば「バック・トゥ・ザ・パスト思考=過去から地続きに考える思考」が有効なのではと考えるようになりました。

良い企画を生み出す人・組織は「人の普遍性」に関して議論をする傾向にあるなと思っています。

誰かがこう言っていたから(有識者や一部のユーザー)の結果でとりあえず判断するということはしない。

人間の普遍性と照らし合わせてチェックをして、アイデアをタイムスリップさせる。

こうやって普遍性と向き合って考えられた商品が、ロングセラー=長く愛される商品として成り立ったりするのだと思います。

まとめ

  • 良い企画には「普遍性」がある

  • トレンド<普遍性

  • バック・トゥ・ザ・フューチャー<バック・トゥ・ザ・パスト

最後まで読んでくださりありがとうございました!

4年前くらいに書いたnoteには、マーケティングを考える時も、時間軸をお時間軸を往復しようと書いていたことを思い出しました。

薄っぺらいマーケティングをなくすために。マーケターが持ちたい社会・文化への眼差しについてで作っていた画像