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デカップリングする製造業と非製造業の景況感

記事にある通り、世界経済停滞と言われていますが、その割に今回の局面は、製造業が大きく悪化している割に非製造業が底堅い動きをしています。

そこで、2015年度後半のチャイナショック以降の局面と今回を比較すると、前回は消費増税に伴う駆け込み需要の反動等により「輸送機械」や「電気・情報通信機械」といった最終需要財の落ち込みが大きかったのに対し、今回は「電子部品デバイス」や「汎用・業務用・生産用機械」といった情報関連の中間財や資本財の落ち込みが大きいという違いがあります。

そこで、最新の産業連関表から業種別の中間投入率を見ると、前回の悪化の主因であった「輸送機械」や「電気・情報通信機械」が上位を占めているのに対し、今回の主因である「電子部品」や「汎用・生産用・業務用機械」は、製造業の中では相対的に低いことがわかります。

また、前回の悪化の主因となった「輸送機械」の生産波及力が全産業の中で最も大きいのに対し、今回最大の押し下げ要因となる「電子部品」は製造業の中では比較的低いこともわかります。

更に、各部門の影響力係数と感応度係数を見ると、「輸送機械」は他部門の生産活動に大きく影響を与える一方で、他部門の生産活動からの影響も受けやすいことがわかるのに対し、今回の主因である「汎用・生産用・業務用機械」等は他部門に与える影響も他部門からの影響も小さいことがわかります。

以上より、前回が消費増税とチャイナ・ショックに伴う内外需の複合的な調整だったのに対し、今回は世界的な情報関連財の在庫調整に米中通商摩擦激化が重なったことによる外需主導の調整だったことによって、内需への波及が限定的になっていると推察されます。

しかし、足元では10月に予定されている消費増税前の駆け込み需要の影響もあり、他部門への影響力が大きい「輸送機械」や「電気・情報通信機械」等の耐久消費財の消費が盛り上がっていることから、増税後はその反動減が警戒されます。また、最終需要項目別の依存度で圧倒的に投資への依存度が大きい「建設」需要についても、今秋以降にも五輪関連の建設特需がピークアウトして落ち込むことが警戒されます。

こうしたことから、仮に年後半に情報関連財の世界的な在庫調整が終了して「電子部品」や「汎用・生産用・業務用機械」関連の製造業が底打ちをしたとしても、逆に内需への波及が大きい耐久消費財や建設財の需要が落ち込めば、年度後半はこれまで底堅さを示してきた非製造業が落ち込む可能性があることには注意が必要でしょう。

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第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。あしぎん総合研究所客員研究員、跡見学園女子大学マネジメント学部非常勤講師を兼務。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事。専門は経済統計、マクロ経済分析。