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日本の企業組織は、明らかに問題を抱えている

米国では、顧客体験向上が事業成長に重要だと認識されるようになった2010年代後半から、接客時のサービス品質向上のために、頻繁にお客さま向けのアンケートを実施して、その結果を改善に役立てるようになりました。

日本でも、お客さまアンケートはよく行われていますが、実施されている量や、その結果を改善に活かすシステム構築の度合いでは、大きく差が開いています。顧客体験を管理するソフトウェアは売上を大きく伸ばしており、一つの領域として確立されています。

顧客体験管理ソフトウェアは日本にも進出していますが、実際のところ、お客さま向けのアンケートとしての利用は限られていて、主に従業員向けのアンケートとして活用されているのが実態です。

似た話ですが、業務ソフトウェアの利用定着を促進するソフトウェアが米国にあり、数千社で活用されています。サブスクリプション型の業務ソフトウェアを提供する企業は、自社のサービスが利用されなければ解約されてしまうため、必死にお客さまの利用動態を把握して、利用促進を図ります。顧客体験の改善は死活問題なのです。

そのソフトウェアも、日本に進出しているのですが、異なる利用のされ方が目立ちます。業務ソフトウェアの利用動態から、ミスやタスク遂行時間の変化を把握して、従業員のメンタルヘルスを捕捉する目的で導入されているのです。

両ソフトウェアとも、米国では顧客を理解し、体験を向上していくために活用されているのですが、日本では従業員理解のために利用されています。

企業にとっては、顧客も従業員も大切なので、ソフトウェアとしてどちらが正しい利用方法かは判断できませんが、日本が従業員を重視していることは間違いありません。

しかし、この記事では、日本で熱意を持って仕事をする社員は5%程度で、世界の最低水準に沈んでいることがわかります。30%を超える米国を大幅に下回っていることが示されています。

日本企業は、本来顧客向けに存在しているソフトウェアを、わざわざ従業員のために使用しているのにも関わらず、従業員は圧倒的にやる気のない状態になっているのです。

これは、組織内に問題を抱えているからこそ、顧客に目を向けるよりも、従業員向けの調査やメンタルヘルスを強く意識しなければならなくなっているとも解釈できます。

そもそも企業は、外部への価値提供を目的とすることで、活動を継続することができます。生活へのデジタルネットワークの浸透、長引くパンデミックなど、顧客を取り巻く環境は大きく変化をし、企業もこの変化への対応を迫られているはずですが、日本企業は内向きにならざる得ない状況に追い込まれているようです。

ギャラップの調査は信頼できない、もともとの国民性の違いだなど、数値結果を無視するための言い訳はできますが、いびつなソフトウェアの利用され方からも問題が発生していることが想定されます。

まずは冷静に、現代日本企業は組織運営に問題を抱えていると多くの人が認識することが、状況を打開する第一歩になるはずです。

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