リフレーミングによる価値変換で未来へ
こんにちは。新城です。様々な社会課題が山積しています。本当に。じわじわと漂う閉塞の臭い。吹き払う風どころか、その臭いを纏うような舵取りの言葉。ひとつの街、ひとつの国だけではなく、そうした空気が漂い、世界に蔓延していくような気配。日々のニュースを見ていると、そんな気にさせれらます。それでも、世界は少しずつ、少しずつよくなってきているのだと思います。
ファクトフルネスと繁栄
今月、一人でウォーキングしながら、『ファクトフルネス』をAudibleで聴き直しました。「わるい」と「良くなっている」は同時に存在している、という言葉が印象的です。これは、数年前に読んだ『繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史』で書かれていたことにも通ずるものでした。現在、全てがよい状況なわけではない。センセーショナルでネガティブな情報に意識が向いてしまうのはしかたがない。それでも、少しずつ良くなっているという動き自体を否定することはない。そして、そのような少しずつよくしていく動きは、やはり自分たちの行動の積み重ねなのだと、改めて思いました。
自分の小ささ
周りを見回すと、驚くような規模感で社会課題の解決に奔走している人たちがたくさんいて、自分はなんて小さくて無力なんだろう、と焦ることがあります。それでも、自分のできることをひとつひとつ積み重ねていくしかないのだと信じて、手の届く範囲でやってみて、それを少しずつ広げていけたら、と考えるようにしています。とくに、現在のような感染症対策が重度に求められ社会的重圧が重くのしかかる状況で、閉じこもり生活の中で、自分に不要なストレスをかけることほど無意味なこともありませんし。今日は、ホオバルとして展開しようとしている、2つのプロジェクトについて書かせてください。
リフレーミングボックス
見方を変えることで、世界が違って見える。同じ状況や同じものであっての、視座を変え、視点を帰ることで、受け止め方が変わり、価値そのものが変容する。これをリフレーミングと言います。このリフレーミングをうまく使うことで、解決できる課題が、けっこうあると思っています。残り物とお弁当の話も、まさにリフレーミングです。写真のように、お皿にラップだと残り物感満載なのに、弁当箱につめられていると、急に「お弁当」というわざわざ用意された料理に見えてきます。また、残り物ではなかったとしても、食材を個別に皿にもった食卓が、弁当箱に詰められると、「持ち運びできる食卓」になったりします。弁当箱という介入道具を使うことで、価値が変換される。これって、とても面白いと思っています。なんだか、弁当箱って、リフレーミングボックスだなとも思うのです。
このリフレーミングボックスの活用について、2020年3月24日に発売された新刊『GOGO BENTO』の英訳版PDFを無料公開しました。
下記は、著者であるホオバル代表の野上からのメッセージです。
私の気持ちを汲んでくれて、ご快諾くださった笠倉出版社に、心からお礼申し上げます。(やったことないけど、あたらしいことやるのいいね、と言ってくれて本当にありがとう!)
上記のリンク先からダウンロードが可能です。パスワードなどは不要です。興味を持ってアクセスしてくださった方、どなたでも見られ、ダウンロードもできます。
2001年のアメリカ同時多発テロの時、アメリカのミシガン州に住んでいて、小さい娘2人を抱えてめちゃくちゃ不安な毎日を送る中、家でつくる料理や、手元にあった日本語の本は、とても私の救いになりました。
今、日本国内に留まらざるを得なくなってしまった人の気晴らしに少しでもなってくれるといいなあ、そして日本のお弁当に興味あるけど日本に行けないなあと思っている世界中の人に、気軽に読んでもらえるとうれしいです。
これは、5種類または3種類の主材料を使ってつくるお弁当のレシピ本なので、買い物にも行きづらい今、お弁当に限らず、手元にある食材を使い回すヒントにもしていただけるとうれしいです。
2020年4月17日 野上優佳子
GOGO BENTO, my new recipe book released on March 24, 2020, is translated into English and available for free.
Due to coronavirus, we are facing challenges in normal daily life.
In 2001, I was living in USA, when terrorist attacks has happened. At that time, I had an anxious feeling with two small daughters. What helped me was cooking at home and reading books.
All recipes in this book is made of 5 main ingredients. (Some recipes only use 3 main ingredients!)
In this circumstance, most of us are going to groceries less often. I hope this book gives you some tips for how to cook by making full use of what you have in your kitchen now.
I would be very happy if this books can relieve people all over the world, especially those who are interested in Japanese Bento culture and want to visit Japan someday.
Please click the link below and you can find 2 pdf files. If you prefer a smaller size, download the file named.
17 April 2020 / Yukako Nogami
廃棄物が新素材に
社会の中でも、こうしたリフレーミングによる価値変換ってできないかな、と思っています。台湾で生まれた新素材を活用してプロダクト展開をしようと準備を進めています。竹製品が盛んな台湾では、膨大な竹の端材が出ます。そのままだと、産業廃棄物として処理することになる、この竹の端材。これを、粉末状にします。ここに天然素材をいくつか組み合わせ、100%ナチュラルな素材でありながら、プラスチック同様の整形ができる新素材が開発されました。プラスチック同様の加工処理ができるため、様々な形状への展開が可能です。今回は、ここにコーヒー抽出滓も組み合わせています。本来ゴミとなるはずだったものが、新素材に生まれ変わる。アップサイクルの仕組みでもあるのですが、僕は、なんだかゴミが魅力的な新素材に見えてくるという意味で、リフレーミングっぽく思え、弁当箱との意味的な相性もいいな、と思っています。
自宅に閉じこもっている今だからこそ、手元にある弁当箱も活用してみてください。残り物だって、お弁当になると、フタを開ける時にちょっとわくわくします。盛り付けも、パズルのような難しさというか個性と工夫が如実に完成度に影響して、とても面白いです。
そんな弁当箱を、より手軽な価格帯で、環境負荷の低い素材でつくられたものを社会実装したい。それによって、日常生活の中で、気軽に、当たり前に、未来に貢献できる機会をつくりたい。そういう思いから、クラウドファンディングを通して、最初の一歩を踏み出してみたいと考えました。コンセプト段階から親身に相談にのってくださったReadyForさんには本当に感謝しています。ファーストゴールは200万円、開始7日目で50%を達成(2020年5月30日現在達成度93%、187万円を超えました)。宣伝ぽくなってしまうので、恐縮なのですが、とても興味深い素材であるというところを多くの方々がご理解くださり、さらにご支援いただけたことがうれしいです! 今後も、自分にできること、自分が支援できることを探していきたいと、改めて思いました。