これからのマネジメントは「管理」ではなく「活用」と訳そう
uni'queというファッションテックのスタートアップを経営している、若宮と言います。
弊社はちょっと変わっっていて、全員が複業でスタートアップをしています。
(代表の僕を含めて)「複業をしていないと入れない」という変な会社です。
そんな一風変わったチームなので、チームマネジメントも実験的で、超分散型・ボトムアップ型で行なっています。
オーケストラとバンド
© comemo992439091
チームがどのように意思決定されチームとして動いていくか、というあり方には、大きく分けると
・トップダウン型
・ボトムアップ型
があると思います。
「トップダウン型」は文字通り上位にいる人が意思決定をしてそれにチームが従うスタイルで、
「ボトムアップ型」は逆にチームメンバーから意思決定の提案がされていくものです。
トップダウン型はちょうど、指揮者がタクトを振って全体をコントロールする「オーケストラ」のようなイメージで
一方のボトムアップ型はメンバーのそれぞれが自発的に動きながらチームのアウトプットが作られていく、
「バンド」のジャムセッションのようなものだと言っていいかもしれません。
VUCA時代に求められるボトムアップ型チーム
もちろん、トップダウン型もボトムアップ型もどちらも長所短所があります。
トップダウン型は意思決定通りの実行スピードは早く、ボトムアップ型は自発に任せるため統率は落ちます。
またボトムアップ型ではメンバーそれぞれが自分の考えで動くため、何が起こるかという不確実性も高くなります。
しかし僕は、これからの時代はよりボトムアップ型のチームマネジメントが求められる時代になる、
いやむしろすでにそうなっていると感じています。
VUCAと言われる不確実性の時代にボトムアップが向いていると考える理由は以下の3点です。
・変化のスピード
・正解が現場にある
・分散によるレジリエンス
トップダウン型が成果を出しやすいのはトップが「正解」を知っている場合です。
正解を知っているなら、一人で意思決定してそれを伝達すればよいのでトップダウンが早い。
高度経済成長をした製造業時代にはモノを作れば売れましたから、再生産や効率化をするのが鍵で、
トップや先輩が「正解」を知っていたわけです。だからこちらの方が向いていた。
ですが今の時代は、市場は成熟化し何が求められるかわからなくなっている。
そしてとにかく変化のスピードが速い。iPhoneが一気にインターネットを変えたように5年先を見通すことすら困難です。
正解は試してみるしかわからない、そういう不確実性の時代にはトップダウンはむしろ危険です。
トップの考えが上意下達され、実行されたとします。もしそれが「不正解」だったら?
失敗したことがまた上まで伝言ゲーム式にレポートされ、トップが失敗を知って意思決定をし直す。
それが下達されてやり直されるのはそれからになる。上下運動に時間がかかる。
それに対し、ボトムアップは現場駆動です。現場で見て、違う、とわかればすぐに変更できる。
そして、よく言われるようにニーズは現場にこそあり、現場のメンバーはその変化も含めて感覚を持っている。
ユーザーと直接触れている前線のメンバーこそが正解への勘が最も研ぎ澄まされているのです。
また、ボトムアップ型の組織の方が意思決定も含めて分散化しているため、リスク耐性が高い、ということもできます。
サーバーを分散するように、一極集中しているよりは分散した方が脆弱性が低い。
トップが全てをやっている会社はそこがボトルネックになったり弱点になったりします。
そうすると優秀な人は休めなくなる。中央サーバがダウンしたらサービスが全停止するのに似ています。
マネジメントを「管理」と訳す問題
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一般的に、マネジメントは「管理」と訳されることが多いように思います。
代表例が「マネージャー」で、「管理職」と訳される。
しかし、たとえば「アセット・マネジメント」という言葉を考えてみましょう。
「資産運用」と訳されます。
アセットマネジメントは資産をなくならないように「管理」するだけではなく、
それを投資運用して「増やす」ことが重要です。
同じように、「人材マネジメント」という時、
それは「管理」職である上司が部下を見張り、コントロールすることだけではないはずです。
人材それぞれの個性をみて、最適な配置をし、
チームとして成果が最大化するように「活用」する。
それこそが「うまくする、なんとかする」という意味の「manage」という言葉が示す、本来のマネジメントではないでしょうか?
「リスク活用」しよう
ちなみに、同じことが「リスクマネジメント」でも言えると思っています。
日本のリスクマネジメントは「リスク管理」と訳されがちです。
リスクが起こりそうな可能性をみつけ、それを排除する。
ですが本来、どれだけ排除してもリスクというのはゼロにはなりません。
あらゆるリスクを排除しようとしたら、外には危険がいっぱいだから家に引きこもっていよう、みたいなことになってしまう。
ここに日本でイノベーションが起こらない理由もあるのではないでしょうか?
そうではなくて、正しくリスクを推し量った上でそれを機会として「活用」しなければいけない。
AirbnbやUber、ユニコーンと言われる企業はリスクを活用し、それをtakeすることで新たな機会を作りました。
日本ではイノベーションが起きない、と言いながら、事業会社では多くの事業プランが法務チェックに弾かれています。
会社のマネージャーにはなりたがるが野球部のマネージャーになりたがらない問題
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日本人の多くが、会社に勤めるとマネージャーになりたがります。
それが出世だと思っていて、上に行くようなイメージをもっているからです。
ですが、野球部のマネージャーには誰もなりたがらない。
目立たない裏方、もしくは地位の低いサブの存在だと思うからです。
でも、「もしドラ」を思い出しましょう。
野球部のマネージャーは間違いなくマネジメント職をしているのです。
野球部のマネージャーは監督のように指示は出しません。
ユニフォームを洗ったりスコアをつけたりして、チームが試合で最高のパフォーマンスを出せるようにサポートする。
チームがボトムアップで動く時、必要となるのはこういうマネジメントだと思います。
プレイヤーが活躍できるよう心を配り、プレイヤーの力を「活用」する手伝いをする。
ボトムアップ時代のマネージャーは「管理職」ではなく、
選手を「活用する」野球部のマネージャーなのではないでしょうか?
↓9月からKOLとして不定期で投稿しています。興味持っていただけたら他の記事も読んでいただけたら嬉しいです