確実に介護崩壊する「ロストケア」時代が来る
家族の崩壊は未婚や婚姻減によるその世帯数の減少だけでなく、それ以前に今の家族の内部において「家族が結局家族しか頼れない地獄」によって崩壊するのです。
「家族のことは家族が責任もって面倒を見るのが当たり前」という意識は多くの人にあり、むしろそれが呪縛となって、結局介護離職に伴う経済的困窮や、慣れない介護を担うことでの精神的ダメージを受け、親子共倒れになる可能性が高くなります。それでなくても、未婚化などで高齢の二人の親の介護をまだ未婚の子が見なければならない状態も生まれていますし、今後確実に増えます。
痛ましい介護殺人のニュースなども最近目にします。 が、そもそも日本の殺人事件の半分は親族間で起きているという事実はもっと知られていい。
こういうのが出ると必ず「家族だからといって抱え込まず、誰かに頼って」「まず行政に相談して」という声が出るが、それはその通りなんだが、もう一方で、その介護を担う人材不足も深刻になりつつあります。
経済的に余裕のある層は高額な施設に入居できたりと誰かを雇って頼むことができても、そうでない層は結局「誰も助けてくれなかったじゃないか」となります。 制度はあれどそれを担う人がいないという問題が益々表面化することも事実でしょう。
2040年には、介護職は280万人が必要で、2019年の実績からすれば+69万人も増やさなければならないという試算がある。
20年間で69万人増って単純に今いる人が全然辞めなかった前提だとしても年間3.2万人ずつ増やさないといけないわけで、若者の人口が毎年5万人ずつ減っているというのに絶対不可能な話。
外国人入れるっていうけど、69万人も介護職で確保できますか?って話で、土台もう無理なんですわ。
そもそもこの計算もデタラメで、要介護認定者に対する必要人数を割り出しているのですが、要介護認定を厳格にすれば、数字土はいかようにでも操作できる話。
しかし、残念な事に、これから多死時代が来るわけです。もうすでに2022年の死亡者は150万人を突破してしまったが、今後2072年まで年間150万人以上の死亡者が出る。50年多死時代が続くのだ(2023年社人研推計死亡中位)。2040年には年間166.5万人という最高記録を打ち立てる予定。
ちなみにこの死亡者のほぼ9割以上が高齢者である。これだけ死亡者が増えるのだから、死亡の前の数年間介護状態になることが予想されるわけで、普通に考えて、2020年の要介護認定680万人より増えるはず。私の試算だと、2040年の要介護認定人口は800万人に達する。
テクノロジーの発達で介護ロボット云々という話もあるが、介護ってやっばり一番人間の手がかかる部分だと思うわけで、そんなに劇的に変化しないでしょう。つまりは、冷静に考えれば、介護崩壊必至なわけです。
まさに、映画「ロストケア」の問題です。