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この80年間でこんなにも変わった「結婚と離婚の現実」

2017年の人口動態調査によれば、婚姻率(人口千対)は4.9となり、統計資料が残る明治の1899年以来過去最低記録となりました。婚姻率が5.0を切ったのも初めてです。

一方で、離婚率(人口千対)は、1.70と、過去最高だった2002年の2.30と比較するとマイナス0.6ポイントも下げてはいますが、これはそもそも婚姻の絶対数が減少していることによるもので、いわゆる特殊離婚率(離婚数を婚姻数で割ったもの)で見ると、2001年から17年連続で35%あたりをキープしており、相変わらず「3組に1組は離婚する」という状況に変化はありません。

婚姻数の減少や離婚数の増加に対して、よく「都市部に集中している」という誤解があるのですが、そんなことはありません。

都道府県別に長期的な推移を見ても、都市部も地方も同じように「婚姻減・離婚増」の傾向は同じです。

都道府県別に、40年間の推移を見てみましょう。2015年と1975年(まさに第二次ベビーブーム直後)とを比較します。

ご覧の通り、大きな一塊となって、ほぼすべての都道府県が「婚姻減・離婚増」へと進んでいます。中でも、沖縄の突出ぶりは凄まじいものがあります。

そして、東京や大阪といった都市部は、むしろ婚姻率は高い部類で、ここ40年で低婚姻率に陥ったのは、秋田・山形・岩手・新潟・富山などのなぜか「雪国」に集中しています。

ちなみに、2017年実績では、婚姻率上位5位は以下の通りです。

1位 東 京 6.4
2位 沖 縄 5.7
3位 愛 知 5.5
4位 大 阪 5.3
5位 神奈川 5.1

沖縄を除けば、全て大都市圏です。

また、離婚率が少ないランキングを2017年実績から見ると、以下のように、これもすべて「雪国」に占められています。

5位 秋 田 1.38
4位 石 川 1.36
3位 富 山 1.34
2位 山 形 1.33
1位 新 潟 1.29

雪国は、婚姻も少ないが、一度結婚すると離婚も少ないということでしょうか。

この推移をさらに遡って、戦前の1935年と並べてみるとこうなります。

1935年から1975年の40年間も、大きな傾向として「婚姻減・離婚増」に流れてはいますが、1975年からの40年間に急激にそのスピードが上昇しました。

このままの勢いでいくと、年間婚姻数30万組、離婚数30万組で特殊離婚率100%の時代に突入するかもしれません(そうはなりませんが…)。

人口減少・少子化を論じる以前の問題として、こうも「夫婦形態」が「作られず」「壊されている」状況の問題を直視すべきかもしれません。

若年層の人口流出や出会いが少ないために結婚に苦労している雪国の方達を沖縄などの南国に集めてマッチングパーティーをすると、少しは改善されるでしょうか?

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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。