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ニューノーマルと、ダイバーシティは仲良くできない。

日経新聞と連動した日経COMEMOのテーマ企画。
今月のテーマは

「#これからの働き方の新モデルとは」

とのこと。

最近はこのような所謂「ニューノーマル」に関する話題が日経でも多い。

Googleトレンドで世の中の話題総量を測ってみると、僕が普段、日経COMEMOでテーマにしている「ダイバーシティ」にも迫る勢いだ。

ニューノーマルとダイバーシティ、これからの社会における2大トレンドワードとも言える概念だが、実は相反する概念だったりもする。

今日はそんな話。

■「他の当たり前」を求めるダイバーシティ

ニューノーマルもダイバーシティも、その起点は「現在の当たり前」だ。

ダイバーシティは、現在の当たり前に対して「○○だけが当たり前なんだっけ?」という疑問からはじまる。

男性が女性を好きになるのは当たり前。

と、同じように

男性が男性を好きになるのも当たり前。
女性が女性を好きになるのも当たり前。
男性も女性も好きになるのも当たり前。
男性にも女性にも恋愛感情を抱かないのも当たり前。
男性でも女性でもない人がいるのも当たり前。

これらを「その他のマイノリティ」ではなく、当たり前のひとつとして社会が捉えていく。

それがダイバーシティの本質だと僕は思う。

こう捉えると、今世間で騒がれている「ニューノーマル」は、ダイバーシティの本質と少しズレている

■「次の当たり前」を求めるニューノーマル

ニューノーマルもまた「現在の当たり前」を起点とする。

コロナの影響で、「現在の当たり前」が「これまでの当たり前」になった。

働き方で言えば、

満員電車で通勤するのは当たり前。
仕事はデスクでするのが当たり前。
打ち合わせは対面でするのが当たり前。

は過去のものになり、社会は今、ニューノーマルという言葉で「次の当たり前」を探している。

ニューノーマルという響きは「次のメインストリームを考えよう」とも聞こえる。そしてそこには「メインとサブ」という捉え方が見え隠れする。

「コロナで確かにテレワークは浸透したけど、メインとまではならないよね。じゃあメインは何になるだろう?」

といった雰囲気だ。

多様化の流れには乗りながら、あくまで「メインの当たり前」を求めている。そんな「正解探し」がニューノーマルの本質だろう。

やはりニューノーマルの本質は、すべて同列の当たり前であろうとするダイバーシティの本質とは相反すると言わざるを得ない。

■最後に求めるのは、「当たり前」のない社会

ダイバーシティの本質は、現在の当たり前と同列の当たり前を増やすこと。

その先にあるのは「当たり前」なんて存在しない社会かもしれない。

最後に自己紹介をするのもおかしいが、僕は普段、日経COMEMOで「リレーションシップアナーキー」について書くことが多い。

リレーションシップアナーキーとは、社会における関係性の名前を採用しない生き方のこと。

これもまた「当たり前」をなくした生き方のひとつだ。

人間関係の名前には、当たり前が数多く存在する。

友達なら、○○するのが当たり前。
恋人なら、○○するのが当たり前。
家族なら、○○するのが当たり前。

私とAさん、私とBさん、という関係性に「友達」や「恋人」という名前を使ってしまうと、関係性の本質からズレてくる。

相手との関係性が、その本質よりも、社会の当たり前に支配されてしまうことが多い。だから社会における関係性の名前を採用しない。それがリレーションシップアナーキーという生き方だ。

興味を持った人は、この記事を読んでもらいたい。

さて、これらを踏まえて今月のテーマ

#これからの働き方の新モデルとは

に戻ると、僕としての回答はやはり「社員の数だけ働き方がある社会」となってしまう。

そんなワークスタイルアナーキーが、これからのビジネスパーソンには少しずつ増えていくかもしれない。


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小島 雄一郎
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