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SNSの「裏アカ」の正体は?

ちょっと怖い話をさせてください。前に私の知人が、SNSで匿名アカウントからの嫌がらせを受けていました。その後に正体が露見したのですが、結果それは、コミュニティ内のかなり近しい人だったというお話です。

犯人の正体が露見したのは、思い切って情報開示請求に踏み切ったからです。しかし知人が言うには、「犯人はなんとなく分かっていた。というか、実際それは、ほぼ確信に近いものだった」ということです。

なぜかというと、その匿名アカウントが恐ろしいほどに執念深く、しつこく誹謗中傷を繰り返してくるから。で、まず直感的に「おそらくこれは知り合いだろう。それもかなり近いのでは」と思ったそうです。そうでないと、その恐ろしいほどの熱量の(負の)モチベーションの説明がつかないと。

実際に、今とても増えている各種の情報開示請求については、フタを開けてもみると匿名の相手は会社の同僚だったとか、学生時代の友人だったというケースが非常に多いそうです。

人間の闇ですね、怖いですね。本当に。


その知人は、被害を受けているさなか、逆に相手に深い興味を持ってしまったそうです。ここまで犯人を動かす原動力はなんなんだろうと。そしてその匿名アカウントの投稿をすべて記録・保存し、その言動の特徴を詳細にリサーチしました。すると..  浮かび上がってきた犯人の人物像が、あるリアルな知り合いに「完璧に」一致してしまったそうです。


もちろんそれらは、情況証拠の積み重ねでしかありません。あくまで間接的な証拠です。しかし、状況証拠も数が揃うと、それらすべてが一致する確率は1000分の1とか、1万分の1とかそういうレベルになってきます。

知人は逆に、1万分の1の確率で、犯人が知り合いではなかったという結末であって欲しいという思いで開示請求をしたのですが、残念ながらそれはやっぱり推理した通りの人でした。まあ、当たり前といえば当たり前の結果なのですが。


それでは、その匿名アカウントと実在の人物を結びつける特徴とはどういうものだったのでしょうか。誹謗中傷アカウントに苦しむ多くの人のためにも、私が聞いた知見をシェアしておきたいと思います。


1. 年齢

年齢は、ごまかしづらい要素です。今回の匿名アカウントはどうやらかなりのサブカル好きらしく、頻繁にアニメ画像の切り抜きを貼り付けてきたそうです。そしてそのアニメが、昭和レトロな感じのかなり古いものばかりでした。そこから導かれるのは、おそらく「50歳〜60歳」という年齢イメージ。なんなら50代後半かもしれないくらいの感じだったそうです。

さらにその匿名アカウントは相手に変なあだ名をつけて攻撃してくる傾向がありましたが、そのあだ名は、昭和末期の事件に関係するもの。20代〜30代だと普通は絶対に思い浮かばないものです。

2.  文章のクセ

文章・文体もまた、隠しきれない要素です。匿名アカウントは露悪的な表現を好み、ある種のキャラを演じている風でもありましたが、どうしても文章には普段のテイストが出てしまいます。使いがちなワード、ワンパターンの語尾、特徴的な行の空け方、絵文字の使い方など。

その匿名アカウントと容疑者の知り合いの文のテイストがあまりに似ており、「あれ?」と思ったことが、そもそもの気付きの発端になったほどだったそうです。特に、その独特の絵文字の使い方。絵文字って、人によってかなり使い方に個性が出ますよね。

3. 家族構成 

匿名アカウントは、自分語りをすることも多かったそう。そこで家族の話も出てくるのですが、その構成や年齢層が容疑者のリアル知り合いとまったく同じ。どうやら成人前後の子供がいるそうですが、そこから本人の世代も再確認できます。

そんないい歳なのに.. とも言いたくなりますが、まあそれが人間の本質なのかもしれません。

4 . 攻撃対象者の選定

匿名アカウントは、知人以外にも、コミュニティ内の他の複数(主に4名〜5名)メンバーにも誹謗中傷の投稿をしていました。この事実だけでも、まったくの外部の人間ではないことが分かるのですが。

かつ、その人選がかなり特徴的だったそうです。攻撃対象がA、B、C、D、Eの5名いたとして、その全員と何らかの深い関係があるのは.. と考えると、自ずと人物像が見えてきます。コミュニティ内の人間関係の濃淡はバラバラなので、その5人とも全員に深く関係するのはごく少数の候補者に絞られるからです。

5.  企業批判、業界批判

匿名アカウントは、突然激昂したように具体的な会社名を挙げて攻撃することもあったそうですが、それが、かなりニッチな会社である場合が多かったとのこと。有名企業ならまだしも、それらの(一般的には無名な)会社の批判など、ネットでは聞いたこともないレベルだったそうです。

そして恐ろしいことに、容疑者であるリアル知り合いは、そのすべての会社と何かしら関係しているか、業界的な関わりがあったとのこと。本人は点で言ってるつもりなのでバレないつもりなのでしょうが、線でつなぐといろいろ見えてしまうのですよね。

 6.  投稿や行動の同期

匿名アカウントと、容疑者リアル知り合いは、同じ文脈の投稿を同時期にすることも多かったようです。たとえば容疑者リアル知り合いが、コミュニティ内でラーメンの投稿に「美味しそうですね!」と反応したその直後に、匿名アカウントからは「ラーメンのSNS投稿とかアホかwww」のような投稿があるという。

7.  アカウント名

決定的なのはこれだったそうです。世には「裏アカ特定代行」のような業者もいてかなり儲けているようですが、そのノウハウによると「裏アカ名は、本人の名前をもじったものが非常に多い」とのこと。素性を隠したいのに、一方で強い自己顕示欲もある。この倒錯感もまた、悲しい人間の性なのでしょうかね。

その匿名アカウントに使わている文字を入れ替えると、なんとそのまま容疑者リアル知り合いの名前と一致してしまったそうです。それもサブカル好きらしく、ちょっとしたトリックのようなこだわりがあったとも。(たとえばエヴァの渚カヲルはカオルではなくカヲルだといったような)


字数の関係でこれくらいにしておきますが、これ以外にも、二者の間には非常に多くの「共通点」が見つかったとのことです。そしてそれを並べると、本当に恐ろしいくらいの本人一致レベルだったと。

知人は、情報開示請求で犯人が明らかになった後、相手を許すという決断をしたそうです。匿名で誰か分からない状況だったときには憤りの気持ちもあったが、露見した後に相手が一転して謝罪モードになったのを見て、なんだかバカらしく、かわいそうになってしまったとのこと。

人間には、「太陽」の面もあれば「月」の面もあると思います。表の顔だけでは、存在を維持できない人もいるかもしれません。だから「月」の部分をさらけ出し、ガス抜きをし、自分の中のバランスを保つ。

そう考えると、本当に哀れに感じられますよね。もしこの記事を読んだ人の中に同じようなことをやっている人がいたとしたら(いないと思いますが)、これを機に、ちょっと自分の行動を見直してみて欲しいなと思うしだいです。

悪意よりも、善意にあふれる、そういう良い世の中であってほしいですよね。


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