イタリアはいつも得している。食べ物はピザやパスタからジェラートまで美味しいし、男性も女性もラテン系で元気で明るい。イタリアのブランドは自動車でも時計でも靴でもかっこいいし、それこそ、ノーブランドでもイタリアの革の手袋なんてオシャレだから。・・ではない。

EUの主要機関人事が進んでいる。特にECB総裁としてラガルド氏が指名されていることがイタリアに得になる理由である。ラガルド氏に決まったことで金融市場は総じてポジティブに見ている。金融市場の判断として「新総裁はハト派的な決断をする」との期待があるためだ。これまで同氏の金融政策に関する公式発言は限定的で、同政策に対しての手腕は未知数とは言われるものの、拡張的な金融政策とユーロ圏の財政枠組みを優先するIMFの公式見解におおむね沿った内容が多かったのも事実。

実利を重んじた判断をするとなれば、現環境下で金融緩和策と違う動きを見せるとは考え難いということなのである。そのECBの政策は、緩和策と違うどころか、さらに突っ込んで、預金ファシリティ金利の引き下げとQE再開の発表という深掘りも考えられる。ついでに、TLTROという流動性供給の枠組みも再設定されており、これはイタリアの金融システムにとってプラスの作用となることも付け加える。

EUの一連の新人事はこれまでの予想やコンセンサスとは異なるものであり、いわゆるサプライズであった。しかし、その新人事により得をしたのはイタリアではないか、ということが読み取れそうである。

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