リアルイベントのコロナ予防ルールを今試す理由=ドイツ発
ドイツ政府は6月17日、国内の大型イベントの開催禁止措置を10月末まで延長しました。(ロイター通信)
今回は9月末にリアルでの開催を目指すドイツのアニメ漫画ファンが集まる大型イベント「ドコミ」の取り組みにフォーカスし、コロナ予防ルールを今試す理由を考えてみたいと思います。
というのも、これは単なるアニメファン向けのイベントの枠組みを超えて、より一般的なレベルでも参考になるのでは考えるからです。
コロナの感染拡大予防に関する各種の制限措置と制限の緩和は流動的なことに加えて、国、地域のレベルでも異なっていて複雑化を極めています。
大型イベントといってもその形態は、サッカーやコンサート、見本市、自治体が開催する屋外のフェスティバルなど実に多種多様でひとくくりにするのは非常に難しい面があります。
事実、ドイツ政府も「大型イベントの禁止」を打ち出していますが、では具体的にどのような内容のイベントが禁止なのかその要件は「感染予防対策が十分に行われていること」以外今もって明らかにされていません。
冒頭の10月末までの大型イベント禁止の報道と9月末に開催を目指すドコミ、ここで読者の皆さんはあれっと思うのではないでしょうか?9月末にイベントができるのかと。
実は政府の6月17日の決定には続きがあるのです。同日に発表された文書によると、大型イベントに関するくだりはこう書かれています。(抜粋して訳出します)
大型イベントは、接触者の履歴の追跡と衛生ルールの順守が不可能な場合において、少なくとも2020年10月末まで開催してはいけない。
つまり、条件を満たせば開催してもいいとなっているのです。
「ドコミ」は先日、コロナ対策ルールを発表しました。行政、保健当局等々、関連各所と連携し作成したということですが、非常に細部にわたるまで明確に行動が規定されています。本稿の最後におまけとして一部抜粋して訳出しますので読んでみてください。
この「ドコミ」のコロナ対策ルールに、ドイツのアニメファン界隈は煩わしさを感じ「もう来年でいいじゃないか?」など否定的な反応も見られます。
「ドコミ」の関係者たちはSNSを通じて理解を得られるように説明を重なています。例えばこんな感じです。
「パンデミックの期間全体で、このような特別ルールを実施しなければいけないことを考えてください。これは、ワクチンが認可されて十分なな量が確保されない限り、おそらく2021年の『ドコミ』でも適用されます。」
いくつかの説明を読んでみて分かったことは、
来年も状況が変わらないのなら今年開催して、コロナ対策ルールを試し、来年の開催に反映させよう、
という姿勢です。
「ドコミ」のイベント形式はいわゆるアニメコンベンションと呼ばれる欧米のファンイベントでは一般的なもので、ステージや小規模な部屋でのワークショップや講演、大ホールでのパブリッシャー、業者、個人などのブースが同時に展開、進行するイベント形式です。
アニメコンベンションは大型イベントといっても、コンサートや屋外の祭などのイベントとも内容は異なります。アニメコンベンションの内容に合致したコロナ対策ルールはアニメコンベンションの実行委員会が率先して作るほかないのではないでしょうか。そして、今の段階で関連各所とルール作りを行い、実際に運用し、改善点を来年に生かす。さらに突っ込んでいえば、こうした先進的な取り組みを今しておけば来年以降の業界をリードしていくのではないでしょうか。
ここまで書けばすでに筆者の考えにお気づきだかもしれませんが、これはアニメファンのイベントに限った話しではないと思うのです。今日本で言われているように、ウィズコロナの時代に新し生活様式が求められているのであれば、我々はコロナが通り過ぎるのを待つのではなく、前に進むしかないと思いました。
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では、以下に「ドコミ」のコロナ対策ルールの一部とFAQ部分の一部を抜粋して(抄訳します。(参考訳程度とお考え下さい。)
(コロナ対策ルール部分・一部抜粋)
マスクの着用義務について>
マスクの着用は以下の「一時的」な場合にのみ外すことが許される。
・ステージおよびワークショップのイスに座っている間。
・短時間の写真撮影(会場内の建物外のみで、撮影する人との距離1.5mを確保し、会話を避けること)
追跡可能性についての協力について>
・「コロナ・アプリ」の使用を推奨する
(FAQ部分・一部抜粋)
出展/出店者向けのルールとは?
・来場者との距離が1.5mを確保できない場合はマスクまたは透明なフェイスガードを着用。
・距離が保てる場合でもマスクの着用を推奨。
・商品カゴを利用する場合は最低1日2回消毒。
・天井全体を覆うような作りのブースは禁止
「アーティストアレイ」(イラストレーターなどの個人ブース)向けのルールとは?
・隣のブースとの距離を確保するためにイス同士を近づけない。
・ブースのイスに座っている限りにおいては周囲との距離1.5mが確保されているのでマスクをはずしてもよい。
・上記の条件を満たしていてもマスク着用は推奨される。
・イスから離れる場合はマスクを着用する。
・他のアーティストがイスの後ろを通る場合はマスクを着用する。
・定期的に手を消毒する。
「ドコミ」のコロナ対策ルールの全体はこちらです。(ドイツ語)
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タイトル画像:「ドコミ2017」by Lena KLUTH