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ブレーキのかからない新型コロナ感染拡大・年末年始に向けて私たちはどうすれば良いのか?

 国内で12日に確認された新型コロナウイルスの感染者が1日当たり3,000人を超えました。東京都では同日、過去最多となる621人の感染を確認し、埼玉県(199人)、岐阜県(55人)、岩手県(43人)などでも過去最多を更新しました。年末年始を平穏に過ごすことはできるのでしょうか?

 11月に入り、新型コロナの検査陽性者数が全国的に増加傾向となっているにもかかわらず、下旬の3連休は行楽地を中心にかなりの人出がありました。かなりお得感のあるGo Toキャンペーンを利用して旅行に出かけられた方も多かったのではないかと思います。現在の感染状況はこの頃に感染した方からさらに家庭内や職場内に拡がった方々の感染状況を反映していると考えられます。Go Toキャンペーンが悪者扱いのように議論されてきましたが、確かにそれだけが原因ではないと考えられます。現場の印象ですが、検査が陽性になった方で旅行が要因と考えられた方はまったくおらず、むしろ会食や宴会などの席でマスクなしで長時間会話をしていた方々と、その方々が家庭内に持ち込み、濃厚接触者として検査をした無症状の家族の方ばかりです。

 感染症は「感染源」「感染経路」を介して宿主(新型コロナの場合はヒト)に入り込み成立します。このどちらかを断つことができれば感染は成立しません。ヒトーヒト感染をする感染症は、「感染源」が多ければ多いほど、すなわち「感染源の可能性があるヒト」との接触機会が増えれば増えるほどそのリスクが上がります。そして新型コロナの主たる「感染経路」「飛沫感染」「接触感染」ですので、その対策として「飛沫が飛ぶような環境ではマスクをする」「不特定多数の人が接触するようなところを触ったあとは消毒をする(=手指衛生を保つ)」ことによって「感染経路を遮断」することができます。最近ではどこでも消毒薬が置いてあり、多くの方が手指消毒をしていますので「飛沫感染」の方が圧倒的に多いような印象です。

 いかなる感染症でも「感染源」がなければ拡がることはありませんが、現在はあちこちに「感染源」がいる状況です。したがって感染源と接触する機会をできるだけ減らす方策をとらなければなりませんが、個人の行動意識のみではコントロールすることは相当難しいのではないかと考えます。また「感染経路を遮断」するためには現在では圧倒的に多いと推測される「飛沫感染」対策として至近距離での会話をしないようにすることになりますが、ランチに出かけると複数のグループが食事が終わったにもかかわらずお互いにマスクなしで大きな声で会話をしていますし、喫煙所では煙草を吸いながら大きな声で会話をしている方々を見ない日はありません。これは個人の行動意識の問題であると考えます。

 ちなみに私は新型コロナの患者さん(=感染源)と常時接していますが、お互いにマスクをして会話(=感染経路を遮断)しているのでこれまでに感染はしていませんし、抗体もありません(体内に病原体が入っていないということです)。また問診をするときは会話をするだけですので距離をとったうえでフェイスシールドもガウンも着ていません(装着する意義が低いからです)。その一方で、検査が陽性になられた方はほぼ全員がおおよそ1週間ほど前にマスクなしでの会話機会(ほとんどが会食機会)があった方であることも確認しています。

 今年もあと2週間弱となりました。「感染源」を減らすことは私たちがいくら頑張っても限界がありますので、やはりトップダウンによる強力な対策が欠かせないと考えますが、私たちにできることは「感染経路の遮断」です。この記事を読んで今までできていなかったと思った方々が徹底していただけるようになれば、少しでも感染者増加に歯止めをかけることができるかもしれません。また年末に帰省を考えている方は、これから2週間、ヒトとの接触を極力避けるようにすれば(もし感染の機会があったとしても潜伏期間を過ぎれば)「感染源」になる可能性がきわめて低くなると思われ、さらに「感染経路を遮断」することを帰省先でしっかりと実行すれば、他の人に「感染症を成立させる」ことはほぼなくなると思います。これは検査で陰性確認をするよりもはるかに効果的であると私は考えますし、私自身も高齢の両親がいる実家に帰るときには実行しています。

#日経COMEMO #NIKKEI

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